バカリズム「勝ち負けだけでなく、小さなお子様からお年寄りまでが笑顔になれ、そして、お笑いっていいな、大喜利っていいなと思っていただけるような放送になればいいなと思っています」
三村マサカズ「選挙出んの?」

11月14日に放送された『IPPONグランプリ』(フジテレビ系列)。第14回となる今大会は、10人中6人が優勝経験者であり、初出場にさまぁ〜ず・三村マサカズを迎えるという、もはやチャンピオン大会。予想通りの大混戦となった。


Aブロック:誰なんだカワナベコーセイ


予選Aブロックメンバーは、バカリズム/スピードワゴン小沢/ロバート秋山/堀内健/オードリー若林の5人。
1〜2問目では、バカリズムと若林がリード。しかし、ぐんぐん追い上げたのがロバート秋山だった。秋山のスタイルは一言で言えば「憑依」。何かしらのキャラになって答えを読む、というパターンに入ると強い。

第2問「バズーカを持っているところを職務質問されました 言い逃れして下さい」では、バカリズムと秋山の答えを比べるとテンションが真逆なことに気がつく。

■バカリズム
「あ、これプレゼント用なんで」
「今日みんなで鍋やるんですよ」
「いや、ここで待合せなんですよ」
■秋山
「私は酒もタバコもギャンブルもやらないんだ!これくらいやらせてくれよ!」
「いやまた言われたよ、これ砂糖菓子!」
「使いかたさえ守れば、ものすごく身体にいいものだと思ってました」

「言い逃れしてください」という要求に、フラットなテンションで穏便に済ませるバカリズムに対し、逆ギレや大ボケのキャラで返す秋山。一度ぶっとんだキャラを作って、そこに憑依して答えを読む。
第4問「タイトルコールを聞いた瞬間 切りたくなるラジオ番組とは」でも、他の回答者が既存の番組や芸能人をいじった回答を出すのに対し、秋山はゼロベースで番組名を作り出す。

「ブス豚5人衆の今夜は言わせろ!」
「DJ工場長のNONONO NONSTOP機械音」
「(シュシュシュ〜)カワナベ カワナベ カワナベコーセイのモーニング モーニング モーニング モーニング30!」

誰なんだよカワナベコーセイって、である。お題も味方して、秋山は3大会ぶりの決勝進出。バカリズムはまたしてもサドンデスで負けてしまうのだった。

Bブロック:詳しくなくても構わず答える


Bブロックのメンバーはバナナマン設楽/さまぁ〜ず三村/千原ジュニア/博多大吉/笑い飯哲夫の5人。4問終わって4人が同点決勝になるという、まさに死のブロック。

初出場の三村マサカズの見どころは、第1問「スティーブ・ジョブズが関西出身だったらどうなっていた?」で早くもやってきた。他の回答者が「SiriとSiriをあわせると漫才がはじまる(設楽)」「リンゴのマークがハイヒールのほう(ジュニア)」と、Appleか関西かのどちらかに寄せるのだけど、三村はAppleに詳しくないし関西出身でもない。そこで出した回答がこちら。

「わてがスティーブ・ジョブズやねんいうてた」
「関西関西いうてもホンマは三重やねん」
「くうてもうてるやん!」(リンゴマークに書き込み)
「あっ全部食うた!」(リンゴの芯のイラスト)

どちらも詳しくない、ふわっとした状態でも構わず答えてしまう。リンゴマークもAppleのものと全然違う始末。それでもこれで一本を2つ取り、地肩の強さを見せつける。

また、第4問「「今、言うことか!」と言わせてください」では、5者5様のアプローチを堪能することができた。

ジュニア「オネエタレントはそれなりに3日間楽しむ」
哲夫「手と手袋って似てるなあ」
設楽「くやしいか 俺は今からお前たちを殴る! 食いしん坊バンザイ!」
三村「倍返しだ!」
大吉(華丸大吉のライブ告知)

1つのお題に、これだけバラバラなタイプの答えが出てくるの。まさに大喜利の醍醐味である。
ジュニアの回答は直前のお題(オネエタレントを四畳半に3日閉じ込めるとどうなる?)の答えを今更出すというテクニカルなもの。大吉先生は来年1月の福岡キャナルシティのライブを全国放送で告知した上に1本まで取るという、一石二鳥の美味しい思いをしていた。ズルい。

決勝戦:「ノ」を拾うか捨てるか


Aブロック勝者・秋山と、Bブロック勝者・設楽による決勝戦。下ネタスイッチが入ってしまった秋山など見どころはあったけども、なんといっても最後の設楽の答えが美しかった。

お題は「山内さんと山ノ内さんの決定的な違いを教えて下さい」。「ノ」に着目するかしないか、がポイント。「ノ」の違いを捨て、一般的な「似ているようで違うこと」のあるあるで答えても成立するのだけど、設楽統はきちんと「ノ」を拾った。

設楽「やまて線って言うのが山内さん やまのて線って言うのが山ノ内さん」

「”ノ”が入っても入らなくてもほとんど同じ意味」な単語をここでパッと出せるのが素晴らしい。設楽統、文句なしで5年ぶりの優勝となった。

疲弊すると素が出る


A・Bブロックともサドンデスになり、点差もほとんど開かない混戦。観覧ゲストの羽田圭介が残したコメントが、今回の大会をとても的確に表現していた。

「勝負の初めのほうでは、大喜利という形式の中で一番有利な答えを皆さん出していたように見受けられたんですけど、時間が経って疲弊していくと、普段やられているお笑いのスタイルや個性が出てきたなと思いました」

特にBブロックのサドンデス「なりきりルーレット」では、「ルーレットで決まるお題で一本を取らないと敗退」という過酷な状況に設楽・三村・ジュニア・大吉の全員が目を泳がせ、それでも一本を取っていった。テクニックよりも、素の強さ、地肩の強さを感じる大会であった。

松本人志チェアマンは「どうですか?来年あたりIPPONグランプリだけで27時間テレビやっても?」って言ってたけど、あの状態で27時間もやったら全員一晩で5kgくらいやせてしまいそう。榎並アナも号泣だ。でも観たいなぁ。

(井上マサキ)