以前は医学界の常識として、ひとたび血管の老化が始まると、それを阻止できないと考えられていた。しかし、近年になって“血管は若返らせることができる”と分かってきた。
 また、すでに発生してしまったプラークを完全に消去できなくても、安定させることで血管事故を防ぐことができるという。前出の内浦院長はこう言う。
 「かつて“血液をサラサラにする食べ物”が流行りました。確かに血液がドロドロでは血管にも影響が出ます。しかし、実は血液より血管を強くしなければ意味がない。それには抗酸化作用の高い食品を摂取することや、適度な運動をすることが重要です」

 ほうれん草やブロッコリーなど緑黄野菜に多く含まれるルテイン、トマトに含まれるリコピン、ショウガに含まれるジンゲロール、ミカンに含まれるβ-クリプトキサンチンなどが、血管の老化を防ぐとされる。さらに、赤ワインやオリーブオイルも抗酸化成分が豊富で、血管を鍛えるに最適な食品だという。
 また、血管の老化を防ぐには“カロリーと塩分の調整”が大事である。新潟大学病院の元管理栄養士で、料理研究家の林康子氏はこう指摘する。
 「揚げものや塩分の高い食べ物を減らすこと、腹八分目の食事を心掛けることは大切ですが、なかなかできないのが中年族の悲しいところ。しかし、過剰に摂取した塩分は、食事の工夫次第で排出できます。最も効果的なのがカリウムを多く摂取することです」

 食塩に代表されるナトリウムの過剰摂取は、高血圧をはじめとする疾患の誘因とされるが、カリウムにはナトリウムを排出し、体内のバランスを適正に保つ働きがあるという。
 このカリウムが多く含まれる食品を見てみると、次のようになる。
■ずいき(100グラムあたり1万)
■昆布などの海藻類(同8200)
■イモ類(同3000)
■豆類(同2400)

 血管に詳しいある専門家は言う。
 「血管が強いというのは、言い換えれば高血圧、糖尿病、悪玉コレステロールによる高脂血症がない状態のこと。リスクのある人は、ただ血管を強くしても意味がありません。血管が“破れない”ことや“詰まらない”ことが重要で、血液を含めた血管内の環境を良くする努力が必要です」
 血管内の環境を整えるには、やはり野菜を中心とした食生活に加え“睡眠を十分とる。早起きし、クヨクヨ考え過ぎない”といった生活を心掛けることだ。

 最後に『生涯、詰まらない、切れない“強い血管”の作り方』(宝島文庫)の著者で、新小山市民病院・島田和幸院長の言葉を紹介しよう。
 「食生活の改善に加えて、とにかく運動(水泳やジョギングなどではない)と体を温めることが大切」
 島田院長は、運動は両手で「グー、パー」を繰り返すだけ、ガムを噛んで咀嚼力を高めることでも効果は生まれると言う。自らの健康と体は、努力次第で変えられると強く意識する必要がある。