ベッキーが炸裂中の『モニタリング』、木部さん本がますますヤバい 
 ヤラセ疑惑で何かと話題の『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系毎週木曜・夜7時56分から放送)。真偽のほどはさておき、番組の目玉はベッキー演じる木部さんというキャラクター。

◆視聴率は好調だけど「木部さん」に賛否両論

 おかっぱ頭にメガネをかけて、様々なイベントや観光地に出没。突飛な行動を繰り広げて、一般人とされる人たちを驚かせるドッキリものです。

 といっても、そうした演出自体は昔から使い古されてきたパターン。率直に言えば、面白くありません。しかし、それでも注目したいのは、そこにベッキーというタレントの特色がよく表れている点です。それは、彼女の貧弱なクリエイティビティを補ってあまりある、アグレッシブ過ぎる自己顕示欲。

 それもそのはず。この木部さん、見れば見るほど、ベッキー本人のアイデアや特技を放出するためだけのキャラなのですね。キャラ設定など、端から問題ではないのです。t.A.t.u.のコスプレだったり、ピン芸人風のフリップネタだったり、はたまた、あまり披露する機会に恵まれない本気の歌だったり。

 こんな具合にさんざんやり散らかした挙句、「ベッキーでしたー!」とネタばらし。結局気付かれたいんじゃねえか。どの回も全て同じパターンなので、“バレずに驚かす”前提が崩壊しているのです。

◆ベッキーワールド全開の『木部本』

 そんな木部さんが満を持して出したフォトエッセイ『木部本』(ポプラ社)。テレビの制約から解放され、ベッキーワールド全開の一冊となっています。

 たとえば、木部さんが小6のときに書いたという設定の作文が、すでに31歳のベッキーそのもの。

<わたしはネジになりたい。ネジはどんなものでもつなげちゃう。(中略)
わたしが何でもつなげるすごいネジになったら、いくつのしあわせを作れるだろう?(中略)
泣いている人と笑っている人のネジになれたら世界が変わるかもしれない。>

 同じようなことを、後輩アイドル・さんみゅ〜に向かってお説教するベッキーの姿が浮かんでしまって仕方ありません。そしてお悩み相談に答える木部さんのコーナーでは、さらにこのベッキー流道徳の授業が深まっていく。

「年収が少ないので、貯金がありません。どうすればよいですか?」という39歳男性フリーターの質問に対して、こう回答する。

<お金がすべてではありません。ほんとうに大切なのは人と人とのつながり。
あなたがたくさんの人たちにプレゼントしたエガオが、皆さんの心の中に“エガオ貯金”としてたまっています。
そしてあなたが困ったとき 人はその“エガオ貯金”を思い出し あなたに手を差し伸べてくれるんです。>

 もうテレビ番組のワンコーナーから生まれたキャラクターであることなど、すっかり消え去っている。マザー・テレサでも目指しているのでしょうか。

 もっとも、そんなことでベッキーを批判するのも野暮というもの。むしろ、今後もその押しの強さを全面に出してほしいと思う次第。

“ニンゲン観察バラエティ”と銘打った『モニタリング』は、皮肉にもそのわざとらしい演出のおかげで、仕掛け人の素性をあらわにしてしまう。番組そっちのけで、自らのキャパを披露したいベッキーの自我を生暖かく見守る。これが正しい楽しみ方のように思います。

<TEXT/沢渡風太>