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●『牙狼』は若いスタッフにチャンスを与えられる場所
特撮ドラマ『牙狼<GARO>』シリーズの最新作で、女優の秋元才加が主演を務める劇場版『媚空―ビクウ―』が11月14日より公開される。本作はテレビシリーズ『牙狼<GARO>―魔戒ノ花―』(2014年放送)に登場した、秋元演じるゲストキャラクター「媚空」を主役にした続編的スピンオフストーリー。『牙狼』シリーズならではのハードなアクションシーンや、緻密に構成された物語展開、CGテクニックを駆使した幻想的な世界観は健在で、この映画のためにトレーニングを施し、闇に堕ちた魔戒騎士たちを狩る「闇斬師」というストイックな役柄を見事にこなした秋元の存在感が光っている。

本稿では、『牙狼』シリーズの原作・監督を務め、『媚空』では総監督というポジションで全体の世界観を統括している雨宮慶太氏にインタビューを敢行。新作映画の見どころや、第1作『牙狼<GARO>』放送から10年を迎えるにあたって、今後の展望などを訊いた。

――『牙狼』シリーズ10周年おめでとうございます。第1作を作られた時、これほどの長期シリーズになるという予感などはありましたか。

思っていなかったですね。シリーズを作り続けていて、気づいたら10年経っていた、という感じです。『牙狼』を始めた10年前と今とでは、作品を取り巻く状況が変わってきているところがあります。今では自分の周囲に、それなりの実力を持ったスタッフが集まってきていますので、脚本だったり監督だったり、彼らにチャンスを与えられる場所として『牙狼』シリーズがあると考えています。

――今回の映画『媚空』では、大橋明さんが監督・アクション監督を務められています。雨宮監督の「総監督」というのは、具体的にはどのようなことをされるポジションなのでしょうか。

総監督はプロデューサーに近い仕事ですね。今回の作品はどういう物語で、どういったユーザーに向けて発信するのかを考えて、脚本家や監督に概要を伝え、出演俳優を決めていく、そこまでの役割を担います。

――テレビシリーズからのスピンオフ主演となる秋元才加さんの印象はいかがでしたか。

世に魅力的な女優さんはたくさんいらっしゃいますが、僕の作品に出てもらう場合は、SF・ファンタジー・アクションというジャンルに合致するルックスや空気感がある人を求めるんです。"特殊な環境の中で、特殊な能力を持ったキャラクターを演じられる人"というのかな。その中で特化していたのが、秋元さんでした。彼女は日常的な女性を演じることのできる人なのですが、『媚空』のような非日常のキャラクターがハマる、すばらしい女優です。日常と非日常、両方こなせる人はなかなかいないですからね。

●牙狼=冴島鋼牙の物語、完結への思い
――『牙狼』シリーズといえば、主役キャラクターから全体の世界観、小物のデザインに至るまで、雨宮監督のイメージが徹底された独特の美学があるように思われますが、『媚空』でもそれは変わりないのでしょうか。

今回は、僕自身はあまりデザインワークをやっていません。『媚空』の世界観に合ったデザインを美術の佐藤(英樹)がやっていて、僕が監修をするという形ですね。でも、なるべく細かなものの落とし込みはスタッフに任せるようにしています。今回も現場にはよく行きましたが、細かなところには口出しをせず、監督の大橋(明)に委ねていました。むしろ、従来とイメージを意識的に変えてほしいと要望しましたから、熱心なファンから見たら、今までのシリーズとは印象が違って見えるのでは、と思います。

――映画では、媚空が人間の心の中に入りこむ「入心の術」が描かれ、人間の精神世界を視覚化する試みがなされています。これは映画で初めて試みられたそうですね。

『媚空』の映画を作るにあたり、なにか新しい要素を考えようと思い、人の心に入り込むアイデアが出てきました。それを映像でどう表現するかという部分で、精神の中に飛び込んでいく「サイコダイブ」を発案しました。「精神世界での時間が現実だとわずかな一瞬である」という設定も、最後の決戦シーンにおいて、この映画でしか作りえないサスペンスを作ろうという意図から生まれたものです。

――キャスティングについて、秋元さんや須賀健太さん、ミッキー・カーチスさん、佐野史郎さんなど非常に魅力的な俳優さんが集まって、魅力的なキャラクターを作り上げていますが、雨宮監督から見て特によかったと思える役者さんといえば、どなたになるでしょうか。

紗夜を演じた朝倉えりかさんなんて、いいですね。芝居がうまいので選んだところがありますが、アクションの方もとても頑張っていました。作品の中で、次第に狂気をはらんでいく、あの表情がすごくよかったです。

――それでは、いよいよ公開となる映画『媚空』の見どころを教えてください。

女優・秋元才加の魅力が詰まった映画になっていると思います。ヒーローの延長上にあるキャラクター、新しいアクション映画として楽しんでいただければうれしいですね。

――最後に、『牙狼』シリーズのこれからはどうなっていくのでしょうか。次の10年を見越した構想などはありますか。

現時点で「今度こういう作品をやります」とアナウンスしたものは、必ず形にしていますし、今後もそういう感じで作っていきます。そして、いつになるかはわかりませんが、どこかのタイミングで牙狼=冴島鋼牙の物語を完結させたいですね。彼については、完全に着地させないまま物語が終わっていますから。いつかは……と思っています。

■プロフィール
雨宮慶太(あめみやけいた)
1959年生まれ、千葉県出身。
特撮TVドラマ『鉄甲機ミカヅキ』をはじめ、数々の特撮作品で原作や監督を務める。2005年に放送を開始した特撮ドラマ『牙狼<GARO>』シリーズでは、原作・脚本・監督を担当。

(秋田英夫)