現代は3人に1人が「血管病」で命を落とす時代である。だが、血管そのものは本来120年もの耐久性を持つといわれ、この強い器官をきちんとケアすれば、寝たきりや突然死を回避することができる。
 厚生労働省の調査によると、心筋梗塞や脳卒中などの血管疾患は、日本人の死因の約30%に及んでいる。しかし、これらの病気は老化していく血管を鍛え直せば、ある程度の予防ができるという。
 今回は血管病から身を守る基本的な体づくりと、血管の鍛え方のコツを徹底検証してみよう。

 血管は55歳くらいから老化するといわれている。ただし、これはあくまで平均値。喫煙やストレス、乱れた生活習慣が原因で、実年齢はまだ若くても血管だけは老人並みという人が増えている。
 血管病の治療や予防に詳しい医学博士・内浦尚之院長(総合医療クリニック経営)は、こう指摘する。
 「1日にタバコを1箱以上吸い、ラーメン中心の不健康な食生活をしていた20歳の大学生が、心筋梗塞を起こして運ばれてきた。彼の心臓を養う冠動脈の内壁にはプラーク(動脈硬化で生じたコブ)ができており、それが原因で血管が詰まっていた。まだ若いからといって安心してはいけません。動脈硬化による血管事故は、男性の方が圧倒的に多く、女性の4倍もあるのです」

 そもそも“血管の老化”とは何を指すのだろうか。体中に張り巡らされた血管は弾力性に富み、血管壁も厚くできている。しかし、血管が老化すると弾力性を失って、硬いゴワゴワ状態になってしまう。
 そうなると血液の流れが悪くなり、コレステロールなどが血管壁に付着して、プラークと呼ばれるお粥状の塊ができてしまうのだ。
 このプラークが大きくなると、やがて血液の通り道がふさがれ、詰まってしまうのだが、その前にプラークが破裂するケースの方が多いとされる。プラークが破裂して傷口ができると、そこに止血役の血小板が集まり、傷を修復する。だが、問題はその後だ。
 傷を修復することで血の塊(血栓)が形成されると、血流に乗って心臓や脳、肺にまで運ばれることがある。そこで血管を詰まらせると、寝たきりや突然死を招く心筋梗塞、脳卒中、肺栓塞症を発症してしまう。

 血管の老化にはもう一つの問題がある。血管が硬くなって血の流れが悪くなると、血液を全身に行き渡らせるために、ポンプ役の心臓がより強い圧力をかけて血を送り出すようになる。
 その結果、血圧が高くなることで、さらに動脈硬化が進んでいく。まさに悪循環に陥ってしまうのだ。血管の年齢は健康や寿命に直結するため、日頃からのチェックが必要である。