高倉健『旅の途中で』(新潮社)

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 11月10日、高倉健の逝去から1年が経った。高倉に縁のある日本各地でイベントが行われ、またいくつものマスコミが追悼企画を組んでいるが、そんななか、改めてクローズアップされているのが高倉の"養女"だ。

 養女Tさんは今年51歳になる元女優だが、晩年の高倉の身の回りの世話をし、悪性リンパ腫発症後はひとり介護を続けた"特別な存在"であり、「長年世話になった人に財産を残したい」(「週刊文春」文藝春秋/15年1月1・8日特大号より)として、13年5月に養子縁組が成立した女性だ。

 高倉が亡くなってから初めて明らかにされた存在で、近親者さえその存在を知る者は少なかったことからも各方面に衝撃を与えたが、高倉の没後1年を迎え、その動向が再び注目されている。それも、決して芳しい内容ではない。まるで、やしきたかじんの死後に起きた騒動を彷彿とさせるような声が上がり始めているのだ。

 実際、高倉の逝去直後からTさんの動向を疑問視する声は存在した。亡くなるたった1年ほど前の養子縁組で莫大な遺産を独占することに加え、生前も"高倉の意思"と主張し近しい関係者にさえ高倉を見舞うことを拒否したこと、さらに高倉の実妹にもその死を知らせなかったことなどだ。

 さらに没後1年の現在、「週刊新潮」(新潮社)11月19日号が、その後のTさんの振る舞いに対し、一歩踏み込んだ記事を掲載している。「没後1年で語られ始めた『高倉健』密葬の光景」と題したそれには、Tさんに関する"疑惑"が指摘されているのだ。

 そのひとつが昨年11月12日に執り行われた高倉の"密葬"だ。この時点で高倉の死は世間に発表されていないが、高倉の肉親にも同様に知らせていなかったという。

〈よく知られるように健さんは4人きょうだいの2番目で、兄と上の妹はすでに物故したが、下の妹である敏子さん(80)は九州在住。そして彼女を含む健さん以外のきょうだいには、それぞれ2人ずつ子供がいる。すなわち、健さんから見れば甥や姪にあたる人たちだ。とはいえ、彼らに対してその時点では、健さんの死すら伝えられていない。〉

 そしてこの密葬に"高倉の遺志"としてTさんに特別に出席を許されたのが島谷能成・東宝社長、岡田裕介・東映会長、田中節夫・元警察庁長官、老川祥一・読売新聞最高顧問、降旗康男監督の5人だった。

 だが、「週刊新潮」の記事では、映画関係者がこの人選にこう疑問を呈している。

「そもそも監督以外は、健さんと縁が深いとは言えない方々。『近親者』と事務所が言うなら、たとえば、健さんが弟分として可愛がっていた(小林)稔侍さんが入っていないというのはなぜか。あるいは、岡田さんは健さんと絶縁状態だったんですから、そんな席に呼ばれるはずがありませんよ」

 ようは、密葬出席者は高倉の"遺志"ではなく、何らかの思惑を持った養女Tさんの意思によるものだったことが示唆されているのだ。

 実際Tさん自身、前出の「週刊文春」1月1・8日特大号で自らこんなことを語っていた。

「病気になってからではなく、死後のことは『Tさんに任せる。僕のこと、よく知ってるでしょ』と。責任を痛感しております」

 病床にあった高倉を外部から遮断させ、肉親にも死を伝えない。そして高倉の死後には、"彼の遺志"を全面に押し出し、周囲をコントロールする。さらに葬儀、そして遺産の独占------まるで故やしきたかじんを巡る「殉愛」騒動に酷似しているかのごとき事態だが、"疑惑"はこれだけではなかった。それが遺骨と墓の問題だ。

 これは「週刊新潮」だけでなく「サンデー毎日」(毎日新聞出版)11月22日号でも取り上げられているが、高倉は生前の1972年に神奈川県の鎌倉霊園に墓地を購入している。ここには元妻である江利チエミとの間の"水子"が供養されている霊園でもある。

〈ただ、そんな健さんの墓所では、いまだ納骨された気配がない〉(「サンデー毎日」)というのだ。

 さらに「週刊新潮」では、墓地を巡る奇妙な事実も記されている。

 今年春、生前の健さんを24時間サポートした「チーム高倉」を中心とした有志がこの霊園にファンも参ることができる供養塔を作れないかと相談したが、そこで霊園側から「管理費が滞納されている」という意外な答えが返ってきたという。そしてこんな疑問が呈される。

〈(これまで通り利用するなら)名門霊園ゆえに1平方メートル100万円を超すカネが必要となってくる。そもそも養女が管理費の支払いを忘れただけなのか、あるいは墓など不要ということなのか〉

 こうした不可解な状況に加え、密葬の席で出席者に「お骨も持ち帰りいだきたい」とTさんが提案したこと、また実妹が正式に遺骨と対面できていないことが明らかになっているという。

 "死後のことはTさんに任せる"──。

 果たして、親族や近しい関係者にまで死の事実をすぐに伝えず、葬儀に参加させず、そして墓もない。生前、周囲やファンに律儀なまでの気配りをみせた高倉の、これが本当の"遺志"だったのか。そんな疑念の残る"最後の銀幕スター"一周忌だった。
(林グンマ)