ハリルホジッチ監督が就任してからの日本代表を初観戦。新戦力と大黒柱の選手たちの融合を楽しみに観ていたが……。写真:徳原隆元

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 指導しているジュニアユース(U15)の練習を少し早めに終えて、3分遅れで久しぶりに日本代表の試合を見た。
 
 ハリルホジッチ監督になって初めてとなる代表戦の観戦である。テレビ観戦とはいえ、ワールドカップのアジア2次予選という真剣勝負であり、相手のシンガポールは僕が9月まで監督として指揮を執っていたタイの近隣国。タイでも興味を引く対戦カードとなっていた。
 
 シンガポールに引き分けた埼玉スタジアムでの試合当時、僕はチェンマイFCを指導している最中だった。観戦することはできなかったが、タイ人にしてみれば日本がシンガポールをホームに迎えるということであれば、やる前から結果はひとつ――。サッカーはなにが起こるか分からないが、日本の勝利に決まっているとチェンマイFCの選手たちもそう思っていた。
 
 シンガポールが日本相手に実現した0-0という結果は、アウェーに弱いメンタリティを持つ彼ら(タイ人)にとって、何度もミーティングなどで話すことより説得力のある出来事であった。
 
 そして今回は日本がアウェーに乗り込んでのシンガポール戦。格下相手でもやはりそこは敵地であり、前回の対戦はスコアレスドローだったこと、そして僕の印象から言えばシンガポールのチームは思っている以上にしたたかで、なにがなんでも、恥を捨ててでも、というプレーが出来ることを踏まえると、再び苦戦する可能性もゼロではないと思われた。
 
 僕も清水エスパルス時代にマレーシア、シンガポールへ遠征をしたことがあるが、シンガポールでは乱闘になった。U-16日本代表時代にはシンガポールで行なわれたライオンズシティーカップで、マッチアップしたシンガポール代表の選手とどつき合いになった……、といったことを思い出した。そんな経験もあるだけに、なにが起こるか分からないという氣持ちは少し持っていた。
 
 しかし当時のレベルとなると嫌な感じはするが、「今」であれば少なくとも3点差以上の勝利が必要だと思いながらテレビで観戦していた。
 
 結果、3-0の勝利であったことを考えれば、僕の思う「最低限」のラインを保った試合であった。
 冒頭でも述べたように、僕は本当に日本代表の試合を観るのが久しぶりで、ハリルホジッチ監督が就任してから今まで、どんなメンバーで戦ってきたのかも詳しくは知らなかった。ただ、先発メンバーの顔ぶれを見れば、日本には余裕さえも感じ、シンガポールであればこのメンバーでも「差」を見せつけなければいけないと思いながら、試合を見始めた。
 
 立ち上がり、日本の選手たちが少し硬く、スムーズさを感じないサッカーに「大丈夫なの?」という思いを抱いた。清武、金崎、柏木、武藤というフレッシュな選手に期待しつつ、本田、長友、長谷部といった日本代表の絶対的な存在と、どう融合していくのかは楽しみではあったものの、正直そのパフォーマンスには「不安」のようなモノを感じながら見ていた。
 
 ただ、「不安」に関しては金崎の先制点により解消されることになった。ゴールが生まれ、硬さがとれたことで、ボールの動かし方、攻守の切り替え、オフとオンでのコンビネーションが良くなり、流れるようなパスサッカーに近づいていったと思う。
 
 だが1試合をじっくり見たなかで言えば、率直なところ違和感は残っている。それは「圧倒」していないということだ。圧勝できなかった――、という部分に僕は「欲」をかいてしまう。果たして、この「欲」は必要なものなのか? この試合がハリルジャパンの初観戦であり、そもそも内容より勝利が優先される予選の戦いであるだけに、こういう見方が正しいのかは分からないのだが……。