食生活で自衛するには、カルシウム1成分によらずに、たん白質、マグネシウム、亜鉛、カロテノイドをしっかり摂ること

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 高齢者の骨折予防にカルシウムの摂取を勧める情報は多い。ただし、専門家の間では効果を疑問視する声も少なくない。

 先日、食事、サプリメント(以下、サプリ)を問わず、カルシウム摂取と骨折予防に関する複数の研究(被験者の対象は50歳以上の男女)を総合的に解析した報告が医学誌「BMJ」オンライン版に掲載された。

 その結果、解析対象の研究・調査のほとんどで、食事由来(牛乳や乳製品を含む)のカルシウムと骨折との関連はない、とされたことが判明。

 一方、カルシウムサプリ(カルシウムの作用をサポートするビタミンD含有サプリを含む)の有用性に関しては、サプリの摂取により、全骨折リスクが11%低下、背骨の圧迫骨折など「椎体骨折」リスクは14%の低下が認められた。しかし、骨折した場合に人工骨頭置換術の対象になる脚の付け根付近の「大腿骨近位部骨折」と「前腕骨折」のリスクについては、有意な低下は示されなかった。

 また、最も厳密な4試験に絞って解析したところ、サプリと骨折リスクとの関連は認められないという結果だった。

 研究者はさらに、サプリを摂取した群では便秘などの消化器症状や尿路結石のリスクがあると指摘。サプリ摂取により、心筋梗塞などの心疾患リスクが上昇することも踏まえ「サプリの利益はわずかで、害が上回る」としている。

 一方、骨密度に関しては、わずかながらメリットがあることが示された。とはいえ、食事由来のカルシウムで0.6〜1.0%、サプリ摂取では0.7〜1.8%骨密度が増加したにすぎない。この程度の改善では、骨折予防は難しい、ということだろう。

 高齢者の骨折予防には、誘因となる骨粗しょう症を治療する薬剤が有用だ。ただ、心血管疾患や脳血管疾患の予防が優先されるため、骨折予防は後回しになりがち。

 食生活で自衛するには、カルシウム1成分によらずに、たん白質、マグネシウム、亜鉛、カロテノイドをしっかり摂ること。何のことはない、肉、魚、卵、野菜をバランスよく、である。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)