トップ下、あるいはサイドでの先発起用が予想される清武。ベタ引きが予想される相手に、持ち前のキープ力を活かすならサイドのほうが適しているのかもしれない。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 ボールに触わりたい――。テクニックに自信がある中盤の選手は、よくそんなフレーズを口にする。ハノーファーで攻撃のタクトを振るう清武もまた、そんなひとりだ。

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「なるべく沢山触わりたいっていうのは毎試合ありますし、そこでリズムを作れないと、なかなか上手くゲームに入っていけないと思います」と語るが、トップ下のポジションを争う香川も、「どんどんボールに絡んでいける回数を増やしたい」と似たようなセリフを口にしていた。
 
“ボールに触る”などと聞けば簡単なことのように聞こえるが、そこが一番難しい。前回のシンガポール戦ではトップ下にほぼボールが入らず、背番号10はいら立ちを隠せなかった。もし清武がハノーファーの時と同様にトップ下で出場するなら、パスの出し手とのタイミングをしっかり擦り合わせなければならない。
 
 もっとも、“主戦場”での出場にはこだわっていないようだ。記者に囲まれ、香川との競争を問われても「もっとそういう競争が増えて、いい感じにできればいい」としつつ、「真ん中も右も左もできる選手は、どのポジションでもできると思う」とそっけない。
 
 実際に今回のシンガポール戦では、サイドに開いたほうが持ち味を活かしやすいのかもしれない。サイドアタックが鍵を握る試合で、ボールキープに優れる清武はタッチライン際の高い位置でSBの上がりを待てる。いわゆる“タメ”を作れる存在だ。引いた相手が中央に密集することを踏まえると、むしろトップ下よりもパスを受ける回数が増えるとも予想される。
 
 とにかく大事なのは、ボールに触わることだ。
 
「ボールを触わるか触わらないかで、僕みたいな選手は1試合が変わってくると思います。沢山触わることによって自分も活きると思いますし、周りも活かせる」
 
 偶然にも、清武はシンガポール戦当日に26歳の誕生日を迎える。「自分の結果も欲しいし、ただ今年代表の活動があと2試合しかないので、良い形で終われれば一番ハッピー」と意気込む特別な日で、生粋のボールプレーヤーはどんなプレーを披露するのだろうか。
 
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)