CFは勢いのある武藤が岡崎に肉薄している。ボランチはパスセンスに長けた柏木、左ウイングには清武が入る可能性も。

写真拡大 (全3枚)

 シンガポールの中心街にある高級ホテルで前日会見に臨んだ指揮官は、最後まで厳しい表情を崩さなかった。
 
「一番大事なのは勝つこと」
「選手たちに要求しているのは、確固たる決意を持ってリベンジすること」

【写真】シンガポール&カンボジア戦に臨む日本代表メンバー23人
 
 リベンジマッチ。ハリルホジッチ監督の言葉を借りるなら、11月12日の試合はそう位置付けられる。ロシア・ワールドカップのアジア2次予選も前半戦の4試合を終え、日本は3勝1分でグループ2位(1位は消化試合のひとつ多いシリア)。迎えた後半戦で最初にぶつかるのが、これまで日本が唯一勝てなかった国、シンガポールだ。前回対戦では試合の主導権こそ握ったもののゴールが遠く、悪夢のようなスコアレスドローに終わった。今回はなんとしても、勝点3を奪わなければいけない。
 
 試合の前日練習を含めて非公開練習が2日間続いたため、先発メンバーは不透明だ。そのなかで、指揮官は「何人かの選手は少し疲れているので、彼らは(試合に出るのが)難しいかもしれない。特にヨーロッパから合流してきた選手たち」と欧州組のコンディションを懸念。その言葉を額面通りに受け止めれば、何人かの主軸がスタメンを外れるかもしれない。
 
 ただ、この試合で重要なのは、まずゴールを奪うこと。なかでも早い時間帯の先制点が鍵を握る。実際に指揮官は「こういうタイプの試合では、できるだけ早くゴールを決めることが大事」と語り、ゲームプランの一端を覗かせた。ホームの歓声に押されて少なからず攻める気を見せたシンガポールに素早く一発をねじ込めれば、その時点で試合の行方は決するだろう。
 
 そうなると、先発は攻撃的なメンバーで組む可能性が高い。選手が多少疲れていようとも、先制さえすれば後は楽になる。前半のうちに勝負を決め、後半は台頭が期待される新戦力を試せるのであれば一石二鳥。そんな青写真も透けて見える。
 
 その意味でCFは、武藤のスタメン起用も十分にあり得るだろう。実績で“ベスト”は岡崎だが、最近のリーグ戦の調子では武藤に分がある。武藤を先発させ、リードを奪った後半から金崎を投入する――。そんな交代策にも期待したい。
 なにより必要なゴールを奪うために、ハリルホジッチ監督は「ふたつのソリューション」(ハリルホジッチ監督)を用意したと言う。そのうちのひとつは、サイドアタックで間違いないだろう。メンバー発表会見から指揮官が重視する「センタリングからの攻撃」というキーフレーズは、選手にもしっかり浸透している。
 
 ボランチの山口は「相手は引いてくると想定されるので、裏だけじゃなく横の幅も必要になる。そういったボールの動かし方ができればいいかなと思う」とパスの出し手としてサイドを使う意識を高める。また、受け手の原口は「サイドからの攻撃は間違いなく重要になる。そこで上手く起点になりながら、中に良いタイミングで入っていけばチャンスになる」とその先の崩し方を描いている。
 
 また、攻撃参加の欠かせないSBに言わせれば、「タイミング良く上がっていく場面をどんどん増やしていかないといけない。SBが上がることで幅ができれば、間のスペースができてくると思う」(長友)となる。
 
 サイドからクロスを上げるのはもちろん、サイドで相手の注意を引いておいて中央を崩す。つまり、その“両刃”の使い分けが、引いた相手を崩す解決策になるはずだ。
 
 一方で、日本の守備のやり方に変化はなさそうだ。4-2-3-1をベースとするシンガポールで怖いのは、両サイドハーフのスピードを活かしたカウンター。ボランチのリスクマネジメントは引き続き求められるが、普段通りにやればさほど問題は生じそうにない。そこは百戦錬磨の長谷部を中心に、対処に抜かりはないだろう。
 
 むしろ、ボランチも攻撃的な人選をすべきか。実際に前回対戦では、長谷部の相棒を守備的な山口ではなく柴崎が務めた。そこで期待したいのが、組み立てに力を発揮する柏木だ。前回のイラン戦でも後半から出場し、及第点の働きを示したレフティは、相手の裏を突くミドルパス、サイドチェンジも得意とする。その展開力は、チームの狙いとするサイドアタックにさらなる鋭さをもたらすだろう。
 
 いずれにせよ、どう点を取るかが焦点のシンガポール戦。どうせリベンジを狙うなら、大量ゴールで気分良くいきたいところだが。果たして――。