前回の対戦では23本のシュートを浴びせながらノーゴールに終わった。本田は「幅を出せなかった」と振り返った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 実に23本ものシュートを浴びせながら、終わってみればスコアレスドロー。試合直後のハリルホジッチ監督が「こんなゲームは見たことがない」と嘆き、今なお「まだ飲み込めていない」と語るシンガポールとの“リベンジマッチ”が明日に控えている。

【写真】シンガポール&カンボジア戦に臨む日本代表メンバー23人
 
 前回同様、シンガポールは自陣に多くの選手を割いて「ブロックを作ってくる」(槙野)のは明白。そこをどう崩し、ゴールを奪えるかが前回に引き続き最大のテーマとなる。
 
 指揮官はメンバー発表の場で「1戦目を繰り返してほしい」とチャンスは作れていることを強調した。同時に「サイドアタック」の重要性も示唆。つまりは、従来通りにパスをつなぎながら、時にSBを絡めてピッチを広く使う。そこにシンガポール攻略の糸口があると見ているのだろう。
 
 中央で手詰まりになればサイドから、サイドがダメなら真ん中に戻す――。そう言ってしまえば簡単だ。しかし、相手の陣形を観ながら全体の意識と判断を変えていくのは、それほどシンプルなことではない。
 
 本田は課題をこう捉えている。
 
「あの時は、ちょっと(攻撃に)幅を出せずにやったことが唯一の反省点だったかなと思います。相手のやり方を見てですけど、当日は幅を出すのか、出さなくても行けるのか。SBとの絡みとか、その辺を現場で判断したいなというふうに思います」
 
 香川もその意見に同調する。
 
「(攻撃の)幅を持つことはすごく大事ですし、そういう意味では両SB、両サイドハーフ、ウイング含めてポイントになる。そういう選手を上手く活かせるように、相手をしっかり揺さぶりながら、スペースがあった時には人数をかけてコンビネーションで崩せればいいのかなと思います」
 
 ただし、10月8日のシリア戦ではサイドに張るがあまり、選手間の距離が開き過ぎて逆に崩しが上手く行かなかった。実際、右サイドの本田が中央寄りにポジションを変えた後半に3ゴールが生まれている。
 
 結局は、試合の流れに応じて出方を調整するのは必須で、ケースバイケースで対応していくしかない。今回のシンガポールに象徴されるように、守備第一で試合に入る敵と対面する際は、特に攻撃面での臨機応変さが求められる。
 
 サイドアタックを意識するがあまり、攻撃のルートが相手ブロックの外側に偏ってしまえば、逆に崩しに流動性は生まれない。主導権を握っているはずなのに、攻撃させられているような展開に陥る――。それが考えられる最悪のケースだ。
 つまり、形はどうあれゴールさえ決まればいい。逆接すれば、そういうことにもなる。
シンガポール戦に向けた宇佐美の意気込みはシンプルだ。
 
「(課題は)フィニッシュの質かなと思います。そういう場面は試合のなかで確実にたくさんあるでしょうし、そういう状況でしっかりフィニッシュの質を出せなければ意味がない」とし、自らの役割を再認識するようにこう続けた。
 
「どれだけ良い崩しができていても最後が決まらなければ意味がない、逆に少ないチャンスでもすべてが決まればそれでいいと思いますし。大切になってくるのはそういう部分かなと思いますね」
 
 中央突破でも、センタリングからでもいい。「ミドルシュートも大事になってくる」(遠藤)だろう。あるいは、相手のミスからでも構わないはずだ。まずは1点が取れれば楽になる。相手の狙いを打ち砕き、自分たちに流れを引き寄せるには、崩し方ありきで攻撃を考えるべきではないのかもしれない。
 
 早い時間帯で先制点さえ奪えれば、さほど難しいゲームにはならない。ビハインドを背負ったシンガポールが前に人数をかければ、後方にスペースが生まれて隙を突きやすい。そうなれば大量得点も期待できる。
 
 いずれにせよ、ゴールなくして「我々自身のリベンジ」(ハリルホジッチ監督)は達成されない。結局は、そこまでの道筋を臨機応変に描きながら、決めるべきシュートを外さない。そんな基本的なことをどれだけ実践できるかが、すべての鍵を握っている。
 
取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)