1978年に創刊された専門雑誌『月刊下水道』

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 決して多くの人は手に取らないかもしれないが、充実した特集でその道のプロから愛されているのが業界雑誌だ。環境新聞社が発行する『月刊下水道』(1500円=税別、毎月15日発売)を紹介しよう。

「読者で一番多いのが公務員。中央官庁や地方自治体とその関連団体が読者の約35%を占めています。その他にも下水道の設計や維持管理に携わる方などにお読みいただいています」

 と語るのは同誌の阿部恭二編集長だ。創刊の1978年、普及率2割台だった日本の下水道が今や約78%にまで増加。総延長も46万キロ、地球11周分超という長さにまでなった。

「日本は地質や地形が地方によってさまざま。地域の特性にあわせた下水道の設置や維持管理を行なわなければならないのですが、これには高い技術が必要です。本誌がこれまで取り上げた、全国各地の下水道の実例や現場の生の声は地域の下水道建設・経営の参考になるとの声をいただいています」

 毎号、下水道トンネルの建設やマンホールなどの管路資器材、汚泥リサイクルなど時代のニーズにあった特集を組んでいる。喫緊の課題は、施設の老朽化対策だ。

「下水道管に起因する道路陥没事故が年間4000件も起きています。地中に埋まっているため、掘り返したり下水道に潜ったりして調査を行なうのは大変。そこで、ソナーを使って地上から調査する方法などの最新技術を紹介しています」

 東日本大震災のときには各地の下水道の被害状況を報じるなど専門業界誌として大きな役割を果たした。その一方で、読者の目を引く“柔らかい”話題のページも用意されている。単行本化の要望もあがる名物連載「スクリーンに映った下水道」がそれだ。70回以上を数えるこの連載は映画通の元自治体下水道職員が執筆、映画に下水道が登場するシーンを詳報するというもの。最新回ではホラー映画を取り上げていた。

〈一見何かの排水管のように見えるが、底部近くに配管があり、照明の多さなども考えると、水を流す施設とは考えにくい。地下通路を利用しているのかもしれない〉

 さすが下水道のプロ、鋭い指摘だ。

※週刊ポスト2015年11月20日号