知られざる専門誌、業界紙の世界をあなたに──。今回は、クリーニング業界の最新情報を発信する月刊誌を紹介します。

『クリーニングニュース』
創刊:1949年
刊行ペース:毎月1日発行
部数:1万5000部
読者層:クリーニング業者・関係団体、消費生活相談員、機械・資材メーカーほか
定価:500円
購入方法:クリーニング業者は組合加入者のみ、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会へ申し込み

 衣替えのシーズンが終わり、今頃はクリーニングに出した夏物の服が戻ってきて、洋服だんすは秋・冬物の服と入れ替わったところ──そう思うのは40代以上の世代だそうな。

 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会、企画広報課長の半田裕施さん(46才)によると、「年代が上がるにつれて、衣替えのときにクリーニングして“しまい洗い”する人が多く、20代、30代はクローゼットに衣類をかけたままにして、シーズンが来たら着る前に洗う。そもそも衣替えという発想がない人も増えています」とか。

 客の意識が変わると同時に、クリーニング業界そのものも多様化のまっただ中だ。

 クリーニング店の店舗数は、ここ20年でピーク時の7割程度まで減少。その中で近年、台頭してきたのが「ワイシャツ1枚100円」などの激安チェーン店や、スーパーの一角の取次店だが、さらに新たに生まれたのが、インターネットによる宅配クリーニングだ。

 全国から宅配便で集めた服を、工場でいっせいにクリーニングして、また宅配便で送り返す。店舗の営業時間にしばられない利便性がウケたが、紛失などの問題も抱えている。

 こうした新たな業態に対応すべく、16年ぶりに改訂されたのが《クリーニング事故賠償基準》。

「昭和54年、他の業界に先駆けて、消費者保護の観点から“事故賠償基準”が作られましたが、今回は、さらにバージョンアップして、顧客に対する説明責任を徹底させることを大きな目玉にしています」と、半田さんは誇らしげ。

 同誌は6回シリーズで、《クリーニング事故賠償基準 読み解きガイド》を特集して、事故があったときの賠償金の算出法や、洋服の受け取り、引き渡しの時にお客にどんなことを話すべきか説いている。

 たとえば受け取り時には、「ここにほつれがあります。シミがありますね」と点検して、そのシミを抜くにはどうしたらいいか、いくつかの方法を提示して、そのリスクも説明した上で、お客が納得する方法を選んでもらうなど、まるで病院で手術をするよう。

 では、改訂前はどうしていたかというと、

「多くのお店ではきちんと説明していましたが、中には職人気質のかたもいて、自分の心の中で決めてしまうこともあったと思います。クリーニングの作業はお客様の目の前で行われるものではありませんから、受け取りやお渡しの時に、双方でしっかり確認することが、トラブル防止には欠かせません」(半田さん)

 接客の課題は、近年の“モンスター・クレーマー”にどう対応するかということ。

「クリーニングに出したら穴が開いた。どうしてくれる、なんてまだかわいいもの。中には実際はシャツ9枚しか持ってきてないのに、『10枚!』と言って、店側がうっかり伝票を切ると『高級シャツ1枚、4万円したんだぞ。弁償しろ』とくる。店はやっていられません」と半田さん。

 一世帯あたりの年間洗濯代も、ピークだった平成4年の「4割程度」だ。原因は、洋服のカジュアル化や、団塊世代が退職してスーツを着なくなったこと。ドライクリーニングの衣類を家庭で洗濯できるとうたった洗剤の普及や形状記憶ワイシャツの出現…。

「でも安い服にクリーニングは無用ではないんです。昔ながらの職人は『ユニクロの1000円の服だって、おれがドライクリーニングすれば3000円の肌触りにして返せるのに』と話しています」

 最後に失敗しないクリーニング店の選び方を聞くと、「まずはワイシャツなど単価の安いものを預けて、クリーニングの仕上がりはもちろんのこと、検品や接客態度がていねいか、総合力を見てください」と半田さん。

 さらに、こちらも、染みがついていたら何の染みか話す。ブランド物やビンテージなど高額な物はいくらで買ったとか、ひと言伝えた方がいい。ボタンなど代えがないものを、いったん外してから洗う場合もあるからだ。

 そんなことを額に汗してお客に話す店主が、この秋から全国各地で見られそうなのだ。

(取材・文/野原広子)

※女性セブン2015年11月19日号