下町で、売り上げが月に4万円程度の駄菓子屋を継いでいる主人公・太郎(オダギリジョー)と、同級生・三枝(勝地涼)、先輩・島崎(嶋田久作)、後輩・剛(前野朋哉)と彼女未満の関係の礼子(尾野真千子)が日々まったりした時間を過ごす水ドラ!!「おかしの家」(TBS 水曜夜11時53分〜)はクセになる。


1話で礼子、2話で武蔵(藤原竜也)、次々、太郎の同級生がこの駄菓子屋に訪れ、11月4日(水)に放送された第3話では、太郎と三枝がふと、いつも木工用のボンドを食べていた若林清美(黒川芽衣)のことを思い出す(五味太郎ふうの回想イラストも叙情を高める)。
木工用のボンドを食ってうんこもらしていたという太郎たちの記憶に対して、礼子は、いつも笑っていた優しい子と、まるで違った記憶をもっていた。
若林清美はほんとのところどんな子供だったのか。そしていまどうしているのか。

神の目線に畏怖を覚える


次第に清美のその後がわかり、彼女をからかっていたことを後悔し、いまは幸せに暮らしていることを想像する太郎と三枝。結果、たどりついた若林清美の最新情報はショックなものだった。
ふつうならこのショックな結末に向けて、ドラマはぐいぐいボルテージを上げて、最後は感情の爆発みたいなものを描くところだが、このドラマには、30分のなかで大きな波はまったくなく、ものすごくゆるやか。ハッピーエンドともバッドエンドともまとめることができない。
太郎の後悔に、おばあちゃん(八千草薫)が「いくつになっても後悔ばかりよ」と柔らかく応えるのみで、太郎を激しく責めるひとも過剰に赦すひともいない。
優しい眼差しを感じる一方で、病気の若林清美の前で、子どもたちが「死ね死ね死ね」と何かを殺すゲームに興じる場面もあって、石井裕也の神の目線に畏怖を覚える。

太郎と礼子のラブストーリーも大きな盛り上がりはない。礼子のほうが積極的に関係性を縮めてきて、太郎はまんざらではないようなのに、いざ、夜を一緒に過ごそうという段になると、バイトがあると嘘をついて交わしてしまう。それでも、しょっちゅう行っていた風俗には行かないようにしているという心の動きもちゃんとある。
ゆるく編まれているようで、じつのところ網目は細かい。

ただそれだけなのに


礼子が同級生の女子とランチを食べて清美の情報を聞くという進行の都合でしかない場面も、面白い場面として存在させている。ひとりだけデザートを我慢する礼子は、家計が苦しいからではなく、「おかしを食べてるから(太郎の駄菓子屋で実際食べている)」と弁解するも、友人達は「おかしでお腹を満たしているの?」とかえって同情的になってしまうというズレが可笑しい。

30分にしては情報量はかなり多く、太郎と礼子のラブストーリーと、同級生との邂逅、駄菓子屋でのおばあちゃんや仲間たちとの生活・・・いろんなものが等しく時間に沿って流れていく。ただそれだけなのに、どうしてこんなに心地よいのだろう。ドラマの舞台は下町で、川もよく出てくるが、川って、その流れを見つめているだけでなんだか癒される。このドラマもそんな感じ。水曜日の夜はほんと寝付きがいい。

11日放送の4話は0時23分から!
(木俣冬)