ドイツでの成長を実感する武藤だが、「駆け引きも上手くなっていかないと」と課題についても言及した。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 11月7日にマインツでの試合を終えた武藤は、すぐさまシンガポールへ移動。「今回はかなり時差があってキツかった」(武藤)ため、9日こそリカバリー中心のメニューとなったが、10日には本格的にボールを使って身体を動かし始めた。
 
 ブンデスリーガでここ3節フル出場を続け、10月31日のアウクスブルク戦ではハットトリックを達成。合流直前の試合でもゴールに絡むなど、好調を維持している。間違いなく、感触は良い。今回はFWが7人選ばれ、にわかにサバイバル化した攻撃陣にあっても、そこを勝ち抜く手応えはあるはずだ。しかし、武藤は謙虚な姿勢を崩さない。
 
「競争は非常に良いことですし、自分もレギュラーを脅かせるようにしっかり結果を出していかないといけないと思います」と、自分の立場を“サブ”と認識しているようだ。
 
 前線ならどこでも遜色なくこなす万能アタッカーだが、やはり今季のマインツで1トップを担うように、本人は「トップのほうがやりやすい」と語る。もちろんここでも、「ただ、決めるのは監督ですから」と模範的なコメントは忘れないのだが……。
 
 日本代表の1トップには、エースの岡崎がいる。日本代表歴代3位の47ゴールを挙げ、マインツの先輩にもあたる名手からポジションを奪うのは、容易ではない。ただ、そこは突き破らなければいけない壁でもある。
 
 本人も自覚しているのだろう。ドイツでの手応えを問われ、「成長していると感じる部分もありますし、足りないと感じるところもまだまだあります」とした武藤は、続く「足りないところとは?」の質問にこう答えている。
 
「ボールのもらい方や、屈強なドイツ人のDFにどう身体を当てるか、逆に当てないようにするかなど。駆け引きも上手くなっていかないと。これからの最終予選ではそういう強い相手ともやると思うので」
 
 相手DFとの駆け引きは、まさに岡崎の真骨頂。先輩から良いところを盗み、自分の武器に変える――。何気ない武藤のコメントのなかに、そんな貪欲さが垣間見えた。
 
 武藤が優等生から脱皮した時、日本代表の攻撃陣に下剋上が起きそうだ。

取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)