「何となく身体に悪そう」--コレステロールを巡る誤解を徹底解説!

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論文を読むのが日課という「めんどくさいお医者さん」、東京大学病院の地域医療連携部にいる循環器専門医・稲島司氏。彼がまた、世に流布する「健康イメージ」の虚実について語り始めた。

稲島 前回に引き続き、夏目さんにあぶらについて認識を確認したいことがあるんです。

夏目 怖いな。今度は何ですか?

稲島 コレステロールって、どんなイメージがありますか?

夏目 何となく「身体に悪そう」ですが?

稲島 ある意味当たってますが、ある意味では間違いです。

夏目 というと?

稲島 最近、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書に、こんな記述がありました。

夏目 どれどれ……「コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいものと考えられるものの、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた」。ん?コレステロールは体に悪くないってことですか?

稲島 そういう伝え方をした媒体もありました。でも「摂取量は低めに抑えることが好ましい」と書いてありますよね。今回はそのあたり、解説を加えましょう。

稲島 コレステロールは、細胞膜を構成し、男性ホルモン・女性ホルモンの原料にもなります。これが「体に悪い」イメージになったのは、1950年代--半世紀以上前の研究がベースにあります。当時、第2次世界大戦が終結して先進国の多くが飽食の時代に突入しました。すると心筋梗塞や脳卒中が激増したんです。「これはなぜだ?」と世界中の学者が調査を始めて、何年もかかって「血液中の総コレステロールの濃度が高いと脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくなる」とわかりました。

夏目 ふむふむ。

稲島 その後の研究で、血液中の総コレステロールの濃度が高いと血管の壁にコレステロールが溜まってしまうことがわかってきました。下の図を見て下さい。血管の壁にコレステロールが溜まると、血流が妨げられます。すると酸素が運ばれなくなります。もし心臓に酸素を送る血管でこれが起こると、心臓の筋肉が酸素不足になり、胸が痛くなって狭心症となります。さらにひどくなって血管が完全に詰まると、酸素が全く足りず心臓の筋肉が壊死してしまい心筋梗塞となり、死亡原因になります。脳の血管が詰まれば脳梗塞が起きます。

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