トーマス・フリードマンが著した“The World is Flat”という本がベストセラーとなったのはちょうど10年前のことだ。ITの飛躍的発展によりインドや中国がグローバル規模での競争力を持つようになる、というものだ。知識やアイデアは瞬く間にグローバル規模で共有され、イノベーションに地理的制約が無くなる、と予言した。そして今、いよいよすべての産業で「世界がフラット」になりつつある。その推進力(そして破壊力)がIoTなのである。

 IoT(モノのインターネット)は、モノとネットの融合と言われているが、実は、新たな仕組みやサービスを考えるのはソフトウェアやサービス系の人たちで、その実現のためにハードウェア系の人材がそこに加わる順番になっている。

ソフトウェアの文化で作る
ハードウェアの台頭

 過去20年はアメリカのソフトウェアとネット系産業の勝利の歴史だった。今、その勝利者たちがソフトウェアからハードウェアに手を広げようとしている。ハードウェアが進化し、複雑な回路がモジュール化され、しかもスマートフォンの世界的普及による巨大な生産量のおかげで部品のコストが格段に下がったことで、ハードウェアの経験のない人でも手軽に扱えるようになった。

 ハードウェア系の人たちは「最終的に動くか」ということを最初から心配しながら最初から細部を徹底的に検討するのに対して、ソフトウェア系の人たちはまず大局的にアーキテクチャーを描いてからすぐにプログラムを作ってしまう。細かい修正は後から何回でも繰り返す。このようなソフトウェア開発の文化の延長でハードウェアを開発しようとする動きが最初のIoTベンチャー興隆の波を作った。

 ソフトウェア開発ではすでにインドなど国の壁を越えた開発の国際協業が普通になっているが、それがベンチャー企業のハードウェアの開発にも広がりつつある。

 ベンチャーを短期間で立ち上げるための「学校」のような仕組みである「アクセラレーター」が流行っているが、ハードウェアに特化したアクセラレーターが出てきた。

 現在アメリカ国内に20ほどあるが、その半分がシリコンバレーに集中している。選ばれた起業家グループに少額(5万ドル程度)の資金を提供し、3〜6ヵ月の期間に開発に邁進し、プログラムの最後で「デモデー」と呼ばれる卒業発表会で成果を発表する。発表会にはベンチャー・キャピタルが出席し、卒業後のベンチャー資金調達にしのぎを削る。

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