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Googleは10日、Android 6.0の新機能「Now on Tap」を、同日から日本向けに提供すると発表した。対応OSは、コードネーム「Marshmallow」で知られる、Android 6.0搭載端末。現状では、Nexus 6やNexus 6Pなど、同OS搭載の"Nexus"シリーズのみの対応となる。

「Now on Tap」は、2015年のGoogle開発者カンファレンスで公開された、Android 6.0向けの新機能。Webやアプリ内で気になった情報(文字列)があった場合、ホームボタンを長押しすることで、文脈を解析し、重要なキーワードを抽出。カード状に表示されたキーワードについて、Web検索したり、地図を表示したり、予定を登録したり、関連アプリを開いたりといった作業を、他のアプリを立ち上げることなく、手軽に行える。

○検索を身近にする機能

グーグル 新製品開発本部長の徳生裕人氏は、「Now on Tap」機能を「もっと検索を身近にする機能」と紹介。

例えば、明日ホームパーティを開く、という内容を「LINE」で連絡している時、「フォンデュ」という料理名が出たとする。この時、ホームボタンを長押しすると、「フォンデュ」のGoogle検索や、「クックパッド」アプリ、「食べログ」アプリ、ニュース検索、画像検索といった項目が出現する。ユーザーは自分が行いたいアクションをタップすることで、「フォンデュ」の画像や、調理法などを確認できる。

従来、一つのアプリ内の単語を調べたり、予定を登録したりといった作業には、一度起動中のアプリから、検索やカレンダーなど別のアプリを起動して、情報をコピー&ペーストする必要があった。この「Now on Tap」では、この一連の作業を1タップで行えるようになる。

○3つの技術を融合

「Now on Tap」の仕組みとしては、同社の持つ「ナレッジグラフ」「自然言語処理」「App Indexing」の3つの技術を組み合わせているという。「ナレッジグラフ」とは、同社が2012年から取り組んでいるWeb上の知識データベース。10億以上の人や場所、物事に対し、500億以上の属性や関連性を含む。

「自然言語処理」は、人間が使う言語をPCが処理するもので、例えば「これ見たいよね」という会話の際、「見る」ものといえば、コンサートや映画などの可能性が高いという"文脈"を捉えることで、ユーザーの次の行動に対し、適切な提案を行える。

「App Indexing」は、もとはAndroidアプリをGoogle検索の結果に表示させる機能。App Indexingをインストールしたアプリは、ユーザーのクエリがアプリのコンテンツに一致した場合、検索結果にアプリの情報やリンクなどが表示される。

「Now on Tap」は、これら技術を活用。スマートフォンやタブレットの画面上に表示されているテキスト情報をクラウド上で自然言語処理し、ユーザーが求めていると想定されるキーワードを抽出。ナレッジグラフで解析し、端末側で関連するアプリを表示する、というものだ。対応アプリはGoogle製アプリに限らず、LINEやTwitterなど、テキスト情報をもつアプリであれば基本的にはどのアプリでも「Now on Tap」が利用できる。また、候補として表示される関連アプリは、App Indexingをインストールしているものに限られる。

徳生氏によると、「人間では『フォンデュ』が食べ物であり、作り方が存在する、という理解をするのは容易だが、PCにおいて文脈を理解し次に求められるアクションを理解するのは困難だった。今回、『Now on Tap』は提供できるレベルになったが、まだ第一歩目の試み。ユーザーに使ってもらい、フィードバックをもらうことで、次の一歩にしていければ」とコメントした。

(村田奏子)