日本代表が出場していないと、情報への感度が途端に鈍くなる。国際大会でさえも、結果をフォローしていない自分がいた。
 
 チリで行われていたU−17W杯で、ナイジェリアが優勝を飾った。2年前のUAE大会に続く戴冠で、2007年以降の5大会でベスト4以上に4度も進出している。

 準優勝のマリは、FIFAの国際大会で同国史上最高の成績を残した。5月下旬から6月にかけて開催されたU−20W杯でも、グループリーグ3位から3位に食い込んでいる。
 
 アフリカ勢の躍進は、日本にとって無関係でない。フル代表がW杯に出場すれば、グループリーグでの対戦が濃厚だからだ。すでに現時点で、我々はナイジェリアとマリに遅れを取っている。
 
 若年層の成績は、フル代表に直結する。
 
 昨夏のブラジルW杯で得点王に輝いたハメス・ロドリゲスは、11年のU−20W杯に出場している。ブラジルW杯でフランスの全5試合に出場したアントワーヌ・グリーズマンも、11年のU−20W杯でチームの主軸を担った。
 
 古豪復活の足音も、若年層の大会から聞こえている。ハンガリーだ。

 09年のU−20W杯で3位に輝いたハンガリーが、ユーロ2016の欧州予選でプレーオフに進出したのだ。グループ3位はユーロ2012やブラジルW杯の予選と同じポジションで、今回からユーロの出場枠が拡大したことによるチャンス到来という見方もできる。その一方で、20歳以下のカテゴリーで実績を残した選手たちが、フル代表で実績をあげつつあるのも事実だ。

 ハンガリーが躍進した09年のU−20W杯では、コスタリカが4位の成績を残している。2年後のU−20W杯でも、ベスト16に進出した。ブラジルW杯で背番号9を背負ったジョエル・キャンベル、タフなハードワーカーのMFイェルツィン・テハダは、11年大会の主力である。

 U−17やU−20のW杯は、五輪との関連性も深い。

 リオ五輪アジア最終予選で日本のライバルとなるイラクは、2013年のU−20W杯でベスト4まで勝ち上がった。同年のU−22アジア選手権では優勝を飾り、翌年のアジア大会では銅メダルを獲得した。国際舞台で安定して成績を残していることが、リオ五輪を射程圏にとらえていると言われる理由だ。

 若年層の大会に出場するメリットは、使命感が生み出す連鎖だろう。

 自分たちの世代で、出場記録が途切れるわけにはいかない。過去を上回る成績を、自分たちの世代で残す──そうしたモチベーションが鎖となり、選手たちの視線が上向きになっていく。個々の向上心がチームを下支えし、競争意識が高まっていくのだ。

 1998年から2000年にかけて活動したシドニー五輪が分かりやすい。

 97年のワールドユースに出場した宮本恒靖、柳沢敦、中村俊輔らがコアメンバーとして立ち上げられたチームは、99年のワールドユース組の合流によって競争が激化する。ひとつのポジションを複数の選手が争うことで、チームがレベルアップしていったのである。2000年のシドニー五輪後も競争は続き、それがまた日本サッカー全体の水準を向上させていった。

 2015年の日本サッカーに、話を戻そう。

 世界への扉を開いた90年後半以降、U−17、U−20のW杯いずれにも出場できなかったのは、2015年が初めてである。高校選手権がドラマティックに報道される季節となっていくが、我々はもっと強く、若年層に対する危機感を共有していくべきではないか。無関心は無責任と同じだと自戒している。