前回の雪辱目指す長谷部と特別視しない本田…必要なのは「同じミスを犯さないこと」

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 11月12日の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選・シンガポール戦に向け、8日夕方から9日未明にかけて続々と現地入りした日本代表選手たち。9日夕方から同市内のグラウンドで行われた現地初練習には、8日にシャルケとのルール・ダービーを戦った香川真司(ドルトムント)と、移動便の遅れで合流できなかった長友佑都(インテル)を除く21人が参加。現地在留邦人の子供たちとの写真撮影、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督恒例の10分超の屋外ミーティングを経て、トレーニングがスタートした。

 17時半を過ぎても気温30度超、湿度60パーセント超と非常に蒸し暑い中、選手たちはランニングから練習を開始した。長谷部誠(フランクフルト)や本田圭佑(ミラン)ら欧州組9人と8日のJ2・ツエーゲン金沢戦があった山口蛍(セレッソ大阪)の合計10人、西川周作、槙野智章(ともに浦和レッズ)ら国内組11人が別々のグループに分かれ、前者は比較的遅いペースで約25分間の走りを実施。後者はスピードを上げて12分間で走りを切り上げた。

 そこから4グループに分かれた練習へ移行。欧州組の長谷部、武藤嘉紀(マインツ)など土曜日の試合で先発した4人と山口の合計5人はすぐストレッチに入り、早めに練習を切り上げた。土曜日の試合で途中出場した本田、岡崎慎司(レスター)と金曜日に試合があった原口元気(ヘルタ)と清武弘嗣、酒井宏樹(ハノーファー)の5人は細かいボールコントロール技術をハリルホジッチ監督から直々に教わり、最後はパス回しを行うなど、負荷がやや高めだった。国内組のフィールド8人もパス交換や6対2など実戦を意識した内容中心。GK3人もリカルドGKコーチの下でキャッチングなどを精力的に消化した。これだけ練習メニューを細かく変化させたのは、過酷な環境のシンガポールで選手たちをベストに近いコンディションで戦わせたいと考えているから。指揮官のこの試合に賭ける強い意気込みが改めて伝わってきた。

 それもそのはず。6月の2次予選初戦で日本はシンガポールにホーム・埼玉でまさかのスコアレスドローに終わった。シュートを23本も打ったにもかかわらず、相手GKイズワン・マフブドの神がかりセーブの前に1本のシュートさえ入れられなかった。その躓きが今回の2次予選の苦戦につながったのは間違いない。

「あの試合は監督もずっと引きずっていると言っていましたけど、自分たちも次の試合でしっかり勝たないと気持ちが晴れない部分は間違いなくあるんで。6月が終わってから、監督は『君たちはクラブで試合があるから切り替えられるけど、自分はずっと引きづらなければならない』と話していましたけど、僕らもクラブでいい戦いをしてもその結果はずっと引きずっていた。ここでしっかり勝つことで、本当の意味でスッキリするかなというところはありますけどね」

 長谷部はこのようにハリルホジッチ監督の心情に理解を示すともに、自分自身も深い心の傷になっていることを改めて打ち明けた。

「シンガポールにホームで勝てなかったことで、みんな何かしらモヤモヤは絶対にあると思う。そのモヤモヤを払拭して予選を勝っていきたい」と因縁の試合で代表初先発した宇佐美貴史(ガンバ大阪)も指揮官や長谷部に同調していた。

 とはいえ、そのドロー劇はすでに終わってしまったこと。あまりにもネガティブな印象に囚われていると、同じ過ちを繰り返すことにもつながりかねない。失敗は失敗としてしっかり受け止めたうえで、前回とは違った真価を見せることが今の日本に求められている。本田はそういう前向きな姿勢の重要性を強調していた。

「前回の結果に対して、自分自身はそこまで深くは意識していない。同じミスを現場で犯さないようにするだけなんで。前回は相手に真ん中に人数をかけられて、それでも真ん中から強引に突破しようとしていたところが反省点だった。今回もスペースはないでしょうけど、スペースを探すという意味で、相手陣内で少しワイドに幅を出すことが大事になってくる。そこのギャップを突いていければ、わずかなスペースを探すことはできるかなと。それでシンガポールもやりづらくなるんじゃないかなと思います」と本田は打開策の一端を明かしていた。

 吉田麻也(サウサンプトン)も「個人能力では間違いなく自分たちの方が上」と言い切るように、日本はシンガポール相手に足踏み状態に陥っている場合ではない。ゴールを固めてくる相手を臨機応変に攻略して、確実に勝ち点3を奪う。今回のテーマはそれしかない。長谷部、本田ら主力にはとにかく前をしっかりと見据え、力強く頭脳的な戦いぶりで、勝ち切ってほしいものだ。

文=元川悦子