皆さんは「オキシトシン」と呼ばれる脳内物質をご存じだろうか。
 「別名、幸福ホルモンと呼ばれ、脳内がオキシトシンで満たされると、相手への愛情や信頼が深まりやすいのです」
 と語るのは『脳で感じるセックス入門』などの著作がある、弘邦医院院長のドクター林氏だ。

 つまり、異性を虜にするには必要不可欠な脳内物質で、ある意味、危険な一面もある。
 「相手への信頼度が高まる効果があるため、オキシトシンを故意に投与された人は“詐欺などに引っ掛かりやすい”という調査結果もあります」

 むろん、故意に投与などしなくても、オキシトシンを脳内で分泌させる方法がある。それがズバリ、セックスだ。
 「もっと言えば、強い愛を感じられるセックスです。好きで仕方なかった異性と初めて抱き合えた夜や、パートナーが優しく包み込んでくれるようなセックスを味わったとき、人間は幸福感と陶酔感に包まれて、脳内がオキシトシンでいっぱいになるのです」

 なんとも素晴らしい話であり、年齢を重ねた男性ほど、このオキシトシンをうまく利用すべきだという。
 「加齢とともに、アッチの元気がなくなる男性は多い。また、女性も濡れ具合が悪くなって、感じにくくなるケースも少なくありません。すると、セックスをしても幸せを得られなくなり、それどころか、すぐに中折れする男性に女性はいら立ちを覚えて、関係がギクシャクしてしまうこともあります」

 死ぬまで現役で頑張りたい方にとって、これは大問題。ヤル気があっても、体がついていかない状態では、パートナーを満足させられないのだ。そこで出てくるのが、パートナーを虜にするオキシトシンだ。
 まず、オキシトシンが分泌される過程を説明しよう。
 「実は、ひたすら感じさせれば良いのではありません。先にも説明した通り、オキシトシンは強い愛を感じたときに分泌されます。ただ、長年の関係になると、出会った頃のようなトキメキや情熱は取り戻せません」

 確かにその通りだ。いまさら「愛しているよ」といった甘い囁きに、パートナーがノッてくるとも思えない。ところが、オキシトシンは意外な方法で自然に分泌されるという。
 「それは、肌が密着している時間です。私の研究では、男女が裸で30分以上抱き合うと、脳内にオキシトシンの分泌が見られるのです」

 お分かりだろうか。あれこれテクニックを駆使したり、愛の囁きをしたりする以上に、「30分抱き合う」ことが一番大事なのだ。
 「要はコレ、セックスの前戯に30分はかけるべき、ということ。テクニックがなくても、しばらく体をまさぐっていれば、女性は幸福感に包まれるのです。そうなれば、挿入の有無は関係ありません」

 ED気味の男性は挿入にこだわるより、前戯に時間をかけた方が良い。すると、中折れしても女性はウットリして、“アナタの虜”になる可能性が高いのだ。
 「ちなみに、最初から愛情のない相手とのエッチ…まあ、風俗嬢と客の関係でも同じなんです。30分間、肌を密着させる時間があれば、女性の方はオキシトシンが溢れてくるのです」

 プレイ時間の30分を前戯に費やせば、良いことがあるかも!?

ドクター林
弘邦医院(東京・江戸川区)院長。『脳で感じるセックス入門』や『お医者さまが教える癒されてもっと気持ちよくなる!』など著書も多数。ED治療にも精通しており、現在、同医院では局部海綿体注入法による「ICI治療」も行っている。