書評サイト「HONZ」に掲載されたホリエモンの記事。「独学ですら人気の美味しい寿司屋は作れると言って炎上しているがラーメンビジネスも同じ」などと綴っている。

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「寿司職人が何年も修行するのはバカ」などと発言し、物議を醸したホリエモンこと堀江貴文さん(43)が、今度は「ラーメンビジネスも同様だ」と切り捨てた。

寿司と同様に専門学校に短期間通えばラーメン作りの技術や経営が会得でき、長い修業などしなくてもセンスがあれば繁盛店が作れる、ということらしい。

「正にラーメンとは情報ビジネスの世界なのである」

ホリエモンは書評サイト「HONZ」に2015年11月7日、

「私が寿司屋に長い修行は必要ない。独学ですら人気の美味しい寿司屋は作れる、と言って炎上しているがラーメンビジネスも同様だ」

という内容のコラムを書いた。人気ラーメンチェーンの創業者はラーメン店で修行せずに、日本全国の和食店を食べ歩いて味を作ったのは有名な話で、そこがラーメン業界にイノベーションをもたらしている。暖簾を付けて客と従業員の顔が合わないようにしている。それは、

「モラルの低い従業員が多い傾向のある飲食店の従業員を客に晒さなくても済むため」

と説明した。厨房が覗かれず、セントラルキッチンから運ばれてくるラーメンスープを客が、その店で作られているかもしれないと思わせることができる、などとした。

青年マンガ誌「ビッグコミックスペリオール」に連載されていた「ラーメン発見伝」の中身を掲載し、

「奴らはラーメンを食ってるんではない。情報を食ってるんだ。」

というセリフも紹介した。大半の人間は単純で分かりやすい味しか理解できないし、その証拠として、ダシに鮎の煮干しを使っているイメージが客の脳裏にあれば、違う味のラーメンを出しても「鮎の風味がする」と勘違いする、といった内容のものだ。ホリエモンは、

「正にラーメンとは情報ビジネスの世界なのである」

と綴った。

これに対しネットでは、

「堀江さんのおっしゃってることは正しいですが、その『情報』を買うための代価が『修行』ということなんじゃないでしょうか」
「要するに縦社会の飲食業界が嫌いなんだろう。ただ、縦社会で学ぶこともあるだろうよ」
「ホリエの視点って職人を雇ってラーメン屋をやろうとする経営者の視点なんだよね。ノウハウ買ってきて、素人でも良いから知識叩き込んで、やらせりゃいいじゃんて感じ」

などといった批判的な反応が掲示板などに出ている。

「7日間でプロになれる」と謳っているところも

寿司職人の世界では一人前になるためには「飯炊き3年、握り8年」の修行が必要だという言い伝えがある。ホリエモンは完全にこれを否定した。同じようにラーメン職人もこうした長い修行は必要ないのだという。ラーメン店のホームページを見ると「入社3年で店長へ」と目標を掲げているところもある。

ラーメン店の経営者になるには大きく3つの方法がある。一つは有名店で修業を重ね、暖簾分けしてもらい独立する方法。もう一つは、全くの素人でもラーメンチェーンとフランチャイズ契約をしてオーナーになるやり方。ある程度のノウハウは教えてくれるところも多い。また、専門学校に通い技術と経営を学んで、店を構えるという方法もある。

「蔵出し味噌 麺場 壱歩」「麺場 田所商店」などの味噌ラーメンチェーンのFCを展開するトライ・インターナショナルに話を聞くと、オーナーになるための修行期間は「2か月間」なのだという。ただし2か月で合格点がもらえない人もいて、結局はオーナーに向いていないと判断する場合もあるのだという。2か月間の修行は長いのか短いのかというと、

「長い期間修行をしなければ作れないラーメンもあれば、初心者でも短期間に作れるようになるラーメンもある、ということではないでしょうか」

と説明した。

専門学校では香川県の製麺機製造販売大手、大和製作所が「ラーメン学校」を東京と香川で運営している。「7日間でプロになれる」と謳っている。これまで麺業界は「勘と経験」を重視してきたがその勘を排除し、すべて数値(デジタル)を元に味を作り上げ、そのノウハウを伝授している、という。7日間の内訳は、始めの2日間で経営を学び、残りの5日間は麺やスープ、盛り付けなどの実務を鍛える。費用は38万円とテキスト代がかかる。

高額に感じられるが、卒業したらそれで終わりではなく開店後も新しいスープの作り方や店舗運営などの相談を基本無料で受けてくれる。大和製作所から製麺機を買った場合などは、店舗運営に関するコンサルタントを店に派遣してもらえるなどサポートは厚い。しかし本当に7日間の研修で一人前のラーメン職人になれるのか。同社の担当者は、

「短期集中型で必要なものを教え込みます。簡単ではありませんし、個人差はありますが、料理の経験が無くてもなれます」

と説明した。ただし、受講生は様々なのだという。

「もともとラーメン店で働いていた人が独立開業のために受講したり、逆に受講をした後にラーメン店に修行に行く人もいます。受講後がラーメン職人、オーナーとしての本業が始まるわけですので、あとは個人の努力次第なんです」

と担当者は話していた。