池井戸ドラマにお腹いっぱい!?上川隆也の冴羽獠の再現力がスゴい!【日曜秋ドラマ】
【秋ドラマ前半戦の辛口批評 第4回】

 明日は月曜日か〜と憂鬱な気分になる日曜日の夜には、明日への活力となるドラマを観たいですよね。そんな日曜の夜を締めくくる二作品を、ドラマを愛して41年のスナイパー小林が辛口批評。

◆池井戸潤にお腹いっぱい説浮上

『下町ロケット』
(TBS、日曜21時、出演:阿部寛)
視聴率:18.6%(11月1日)

 直木賞受賞作。元宇宙科学開発機構の研究員だった佃航平(阿部寛)が、父親の残した工場の跡継ぎとなり、捨てきれずにいたロケットエンジンの開発に力を注ぐ。いや、注ぎ過ぎてしまい、中小企業である佃製作所は業績が下降気味に……。大手企業からの技術買収や圧力がかかるなか、果たして航平は宇宙へ自分の夢を打ち上げることができるのか?

 視聴率も回を追うごとに上昇していて、今クール最大の話題になると今からTBSが期待をかける作品です。周囲から揶揄されても自分の抱いた夢とプライドを捨てない航平の熱さに拍手。

 1話から大企業に訴訟を起こされていきなり会社がつぶれるんじゃないか? というダイナミックな展開も見ごたえあり。阿部寛の泥臭い演技もなんだか泣けてくるし、この人はひとりでストーリーを引っ張っていく、ザ・俳優としての吸引力がすごいんだなと感じられるので作品としては◎。

 が、昨今の“困ったときは池井戸潤”っていうパターンに、やや飽きましたね……。でも、きっと世の男性陣は月曜からの士気を高めるべく、食い入るように見ている姿が想像できます。月曜に会う中年クライアントに「観ました?」と言われたり、居酒屋で話している声も聞こえてくるので。そんな方々に伝えておきます。「理想論だけで世の中回っていくほど甘くはない。ドラマへの陶酔だけにしておいてね」と。

◆マンガ主人公を上川隆也がみごとに実写化

『エンジェル・ハート』
(日本テレビ、日曜21時、出演:上川隆也)
視聴率:10.3%(11月1日)

 マンガ『シティハンター』の世界観をもとに新たな作品として描かれた『エンジェル・ハート』が原作。シティハンター・冴羽獠(上川隆也)は、闇で依頼を受けて悪をこらしめるのが彼の仕事。婚約者を不慮の事故で失ってしまい、さらに脳死判定の結果、ドナー提供をしようとした心臓を何者かに奪われてしまう冴羽。仕事から離れて心臓の行方を捜す冴羽の前に、婚約者の心臓を移植された暗殺部隊の一員、グラス・ハート(三吉彩花)と出会い、シティハンターとしての仕事を取り戻していく、1話完結型ストーリー。

 あらすじを聞くとハードボイルドな感じがするけれど、回ごとに笑いやグッとくるツボ要素が入ってくるので安心して見られる作品です。主演の上川隆也がマンガの冴羽獠を忠実に再現しているのがすごい! ヘアスタイルやコーディネートで似せることは多いけど、立ち姿でハマっちゃうことには驚き、さすがのひと言です。

 ドラマとしては今後の展開が楽しみだけど、なんのバーターなのか、前クールで主役を張った三浦翔平が脇役で出演している違和感と、同じドラマで主役だった西内まりやの主題歌がドラマを台無しにしている感が否めず。

<TEXT/スナイパー小林>

【スナイパー小林 プロフィール】
1985年TBS系ドラマ「毎度おさわがせします」を皮切りに小学生からテレビおたくになり、You Tube全盛の時代になってもテレビをひたすら愛し続け、文章にする芸能ライター。ドラマもいいけどアナウンサーのディスりも、コーヒーも大好きな40歳。