ついに上場を果たした日本郵政グループのなかで、郵便事業を請け負う日本郵便が、宅配事業でヤマト運輸や佐川急便にどれだけ対抗できるのかが注目される。ビジネスノンフィクション『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』の著者であるジャーナリスト・横田増生氏が、生き残りをかける日本郵便の戦略に迫った。

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 2013年春に佐川急便がアマゾンとの取引から撤退したのと相前後して、日本郵便がアマゾンからのメール便の仕事を請け負った。さらに、2014年4月には、通販企業への営業を担当するソリューション企画部を本社に作った。陣容は約50人。

 同年6月には、法人向けの1キロ以下の荷物を扱う判取り不要の〈ゆうパケット〉と〈クリックポスト〉を発売した。狙いは、ヤマト運輸が得意とする小型の宅配荷物の取り込み。ゆうパケット運賃は、「お客さまごとに個別に設定いたします」という、定価がない商品。さらに、2014年10月には、再配達を減らす目的で、アマゾンと共同で、家庭用の大型の郵便受け箱も開発した。都内で働く佐川急便のセールス・ドライバーはこう話す。

「ここ数年では、小型の荷物になると、日本郵便の出してくる値段にはとても太刀打ちできないようになりました」

 都内の渋谷郵便局で働く職員によると、郵便局内のゆうパックの部門には、「奪還営業」と大書したノボリがたっている、という。何から何を奪還するのかといえば、最大のライバルであるヤマト運輸の宅急便からの荷物の奪還を意味するのだという。

 各郵便局に置かれた法人向けのチラシの表面には、「御社の発送物を、ぜひお見積りさせてください!! ご利用条件にあった運賃をご提示いたします」とあり、裏面には見積りの条件を記入する欄の下に、「一年間の無料転送サービス」、「確実にお届けします。返還時の調査・再配送の手間も軽減できます!」と、日本郵便の最大の強みである、転居情報の活用も盛り込む。

 さらに2015年4月、ヤマト運輸が発売した宅急便の従来の最小である60サイズより小さい〈宅急便コンパクト〉と判取り不要の〈ネコポス〉に対抗するように、日本郵便は180円という〈スマートレター〉を投入して、ヤマト運輸との全面対決の体制を整える。

※横田増生氏・著/『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』より