リアル世界のDropBox「Sumally Pocket」が提唱する、未来のモノの持ち方

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ついにモノをアップロードできる時代がやってきた。物欲刺激SNS「Sumally」を手がけるサマリーが“リアル世界のDropbox”とも呼びうる、新たなサーヴィス「Sumally Pocket」を立ち上げたのだ。この革新的なサーヴィスは、モノの持ち方を、つまりはぼくたちのライフスタイルを変えてしまうかもしれない。サマリーCEO山本憲資に、新サーヴィスに込めた想いを訊いた。

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山本憲資|KENSUKE YAMAMOTO
サマリーCEO。一橋大学商学部卒業。電通、コンデナスト・ジャパンでの『GQ JAPAN』編集部を経て、2010年4月、物欲刺激SNS「Sumally」を運営するサマリーを設立。
https://sumally.com/
https://pocket.sumally.com/

部屋の中を占有するモノをスマホで簡単に預けられたら、どんな世界になるだろう? きっと、ぼくたちの“モノの持ち方”が変わるに違いない。そんな未来のライフスタイルを実現したサーヴィス「Sumally Pocket」が、サマリーによってローンチされた。

Sumally Pocketは、スマホでモノを預けられるトランクルームサーヴィスだ。その大きな特徴は、iPhoneの操作でダンボールの手配、集荷、アイテムの取り寄せまでできる「スマホの手軽さ」と、預け入れたアイテムが一つひとつ写真におさめられることで自分のスマホで一覧できる「手元でもつ感覚」。簡単に預けつつ、どこに何が入っているかわからないなんてトラブルもなくなるのである。

収納するダンボールは「本」「服」「小物」の3カテゴリーに分かれており、それぞれのカテゴリーに属するアイテムが収納しやすい形に設計されている。大切なアイテムの配送や保管は、モノの管理における絶対的な経験のある寺田倉庫が担当。その保管費用は、1箱あたり月額300円だ。

「極端に言えば、Sumally Pocketを使えば住まいをホテルのように余分なモノのない洗練された空間にすることが、いままでよりはるかに簡単にできるでしょう」と、サマリーCEO山本憲資は語る。

「CDを1,000枚くらいもっていたとき、あのアーティストのあの曲を聴きたいと思って探しても見つからず、amazonでまた購入してしまうなんてことも珍しくありませんでした」と山本はSumally Pocketのアイデアを思いつくきっかけとなった、自身の原体験を語る。

「そこで、数年前から音楽をデータとして管理するようにしたんです。音楽専用のMacを用意して、音楽ファイルを原音の状態でiTunesに取り込んでいく。そうしてMacと接続した手元のiPhoneですべての曲を管理するようになってからは、聴きたい曲を探し出せないなんてことは当然なくなりました。この経験がぼくにとってはすごくイノベイティヴでしたし、あの瞬間にぼくの音楽はすべて、ある意味“クラウド化”されたのです。これをモノでもできたら…。そう思ったところから、Sumally Pocketは生まれました」

モノに支配されてしまった現代人を解放せよ

コンビニ、100円ショップ、amazon…。時代とともに生活は便利になり、必要なモノは安価に何でも手に入れることができるようになった。しかし現代人のモノに囲まれた生活は、必ずしも豊かさを意味するのだろうか? あるいは人々はモノに支配されてしまった、と表現することもできるかもしれない。

そんないまの時代において、山本がSumally Pocketで目指すヴィジョンは「所有から解放されながらも、同時にモノとの関係性をよくすること」だ。アイテムをダンボールにしまうフィジカルな工程を除けば、スマホの操作だけでモノをアップロード(配送)できてしまう。そうしてクラウド(倉庫)に上がったアイテムの画像の一覧をアプリ画面上でスワイプすると、「手元にはないが、たしかに所有している」という愛着感を感じることができる。そしてこの一覧性は、愛好品からとりあえずいまは必要ないので預けたモノまでの価値を、客観的に見せるという側面をもっている。

モノを預けられるだけではなく、預けることでモノと新しい関係を築くことができる──。これがサマリーによる新サーヴィスの真価なのだと山本は語る。

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モノとヒトのこれからの関係

Sumally Pocketが生まれた背景には、現実とヴァーチャルが融合しつつあるいまの社会の特徴もあるという。

「10年ほど前は、まだ現実とヴァーチャルが大きく乖離していました。それがいまや、FacebookやTwitterに代表されるSNS上のコミュニケーションがリアルな生活の一部になっているように、ネット自体が現実世界の大きい割合を占めるようになってきました」と山本は言う。「音楽や本の電子化もその一部でしょう。これまではたしかに存在していた現実とヴァーチャルの境界が、どんどんなくなってきているように感じます」

「すると、『直接会って話す』あるいは『一緒にごはんを食べる』といった現実のコミュニケーションの価値が高まり、日々のコミュニケーションはネットで行う、という方向に生活が変化していきます。これがいまの時代の流れといえるでしょう。そして現実世界はどんどん身軽になり、原始時代のようなシンプルな、人にとって根源的な行為だけが残る世界になっていくのではないかと思います。モノもヴァーチャルで管理できるようになり、雑多なものはどんどんネットに吸収されていくだろうと」

日本のトランクルーム業界はまだ若い。1970年代に生まれ20兆円規模にまで成長したアメリカ市場に比べて、日本のトランクルーム業界は90年代に始まり、市場規模はまだ500億円ほどだといわれている。しかし日本には、大きなポテンシャルがあると山本は考えている。

「Sumally Pocketのようなサーヴィスの場合、物流の力が必要です。日本のように、時間通りに、かつ大量に流通を行える国は、世界を見わたしてもそうそうあるものではありません」。彼に言わせれば、この力は日本人がもつ「緻密な精神」によるものだ。そのポテンシャルを裏付けるように、日本のトランスルーム業界は年間約10パーセントと高い水準で成長しているという。サマリーはその可能性を信じ、まったく異なる分野への新たな挑戦を決めたのだった。

現実とヴァーチャルがますます融合していくなかで、ぼくたちとモノの関係はどのように変化していくのだろう? 「雑多なモノがすべてヴァーチャルに吸い込まれた現実世界に残るものは、本当に大切なものだけ──もしかしたら肉体や意識だけになるのかもしれません」と、山本はSF映画のような未来を夢見ながら笑う。「未来は思ったよりも早く、『マトリックス』のような世界になっているかもしれませんね」

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