トッピングのデカ盛りとは裏腹に、甘めで和風な優しい味のカレーはオリジナリティー満点だ

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渋谷区観光大使兼クリエイティブディレクターの小宮山雄飛です。今回は渋谷のソウルフードを紹介!東急本店から山手通りに抜ける道沿いに、昼時になると毎日できる行列があります。行列の先には一軒のログハウスが。そう、こちらが創業26年の歴史を持つ、渋谷を代表する“デカ盛り”のお店としても有名な「カレーやさん LITTLE SHOP」。

【写真を見る】「スペシャルカレーセット」(800円)は、見ての通り圧巻のボリューム!まさに渋谷のソウルフードと呼ぶにふさわしい

店主の水谷さんは、もともとこの地で生まれ育った生粋の渋谷っ子。しかも曽祖父の代から住んでいたというから、渋谷でもかなり古参となる、戦前からのジモティーなのです。

渋谷区の後輩として昔の渋谷の話もいろいろ聞きたいところですが、とりあえずは、おすすめの「スペシャル」をいただくことに。まずご飯もソースもめちゃくちゃ多いのですが、その上に乗るトッピングがすごいことになってます!

とんかつ、唐揚げ、ナスの素揚げ、ピーマンの素揚げ、目玉焼き、カレー味キャベツ、ひじき、厚揚げ、スライスチーズ、トマト。普通、カレーのトッピングって「とんかつ」が乗った時点ですでにご馳走というか終了だと思うのですが、このお店では「とんかつ」は単なる序章に過ぎません!

揚げ物だけで4種類、さらに目玉焼きにキャベツ、そこから一転して和風のひじきと厚揚げ、最後はイタリアンとでも言うべきかチーズとトマトまで!これで800円って、ご主人がどこかで計算間違ってないか心配です…。

でもって肝心の味ですが、これが意外にも派手なトッピングとは裏腹に、実に穏やかな和風の味なのです。

聞けばカツオ出汁をベースに「酔っ払うくらい」の日本酒を入れていて、さらにバナナを使って甘味をプラスした極めてオリジナリティの高いカレー。一口目は甘めに感じますが、さらりとしていて、嫌なくどさやコッテリ感がないので、デカ盛りでも最後までさらっとおいしくいただけます。

「10年前くらいに東大(駒場)の体育会の学生たちが毎日来るようになって一気に広まった」そうですが、渋谷を心から愛するご主人が地元の学生やサラリーマンのために、明らかに採算度外視で毎日仕込んでいる、文字通り渋谷のソウルフードといえます。

「この裏(円山町)は僕が子どものころは花街で、クラスメイトにお母さんが芸者さんなんて子も結構いましたよ」と渋谷の町の歴史にも詳しいご主人。常連の中には、同じ渋谷出身の超大御所芸能人なんかもいるらしく、地元にしっかり根付いている名店です。

帰りにテイクアウトで「A(カツ+ゆで玉子+カレー味キャベツ)」を頼んだところ、通常の1人前のカレーライスが入るであろう容器がまずご飯だけで満パン状態になり、その上にボリューミーなカツ、さらにゆで玉子とキャベツがこれでもかと乗せられ、今にもこぼれ落ちそう!

ソースはどうすんだろう?と思っていたら、なんと別容器でこれまた満パンのソースが…これ全部で1人前って、さすがです。

しかし、これではどう考えてもソースをかけたら容器からこぼれてしまいそうなので、「どうやって食べるんですかね?」と聞いてみたら、「うーん…確かにこれ、みんなどうやって食べてんだろうね(笑)?」と、どこまでもサービス重視のご主人でした。【東京ウォーカー / 取材・文=小宮山雄飛】