点を取るのはFWだけではありません。現代サッカーでは、左SBのセンタリングから右SBが決めることはあります。これまでも何人かの選手には怒ったことがあります。なぜ、ゴール付近の16メートルのなかに入っていかないのか、と。
 
 現代サッカーでは、86〜87パーセントのゴールが16メートルのなかで生まれています。つまり、16メートルに入って行かなければ、ゴールを奪う確率を高められないということです。身長2メートルの選手だろうが、150センチの選手だろうが、ヘディングでも足でも決められます。日本人選手は、16メートルのなかに入るのを怖がっている。そんな印象があります。
 
 そういったことを選手とディスカッションし、トレーニングしなければならないと思っていますし、とにかくシンガポール戦では集中してやってくれ、我々自身のリベンジだと伝えたいと思います」
――シンガポールもカンボジアも、日本のように芝の状態が良いとは思えませんが、そこで勝つ自信は?
 
「カンボジア戦は、人工芝でやらなければなりません。我々は人工芝での試合を見ましたが、あまりピッチコンディションは良くありませんでした。それは我々にとってもそうですが、カンボジアにとっても良くはないでしょう。ただ、グラウンドのせいでミスをしたという言い訳はないようにしたいです。
 
 シンガポールについて言えば、(8月の)カタール戦ではカウンターアタックでかなりチャンスを作り、ゴールが取れる可能性も見せました。それを踏まえると、例えば我々は10人も16メートルのなかに入っていけないでしょう。右SBが前に行くのであれば、誰かがそのポジションを埋めなければならない。我々が攻撃している時でもしっかり(守備が)オーガナイズされた状態にしなければいけません。そのあたりは、選手がしっかり応えてくれると思います」
 
――スコアレスドローに終わったシンガポール戦は「いまだに理解できていない」とおっしゃっていますが、これまでの予選全体を振り返ると、アジアのそれほど強くない相手との戦い方について、ハリルホジッチ監督のなかで整理されてきている印象を受けます。次の2試合に向けての準備において、その点はどう感じていますか?
 
「私の頭の中には、上手くいかなかった場合のために2つ、3つのソリューションが用意されています。おそらく相手は、ブロックをかなり低いところに敷いてくると思うので、(日本代表は)サイドからの攻撃がメインになってくると予想しています。グラウンダーのボールを早いタイミングでセンタリングする。そして16メートル内での存在感を発揮する。それからミドルシュートを打つ。そして中央の突破を図る。
 
 ワンタッチのプレーを使わなければいけないですし、リターンパスをして3人目のフリックを使ったり、ギャップへ通すパスやオブリックランニングも必要ですね。同時に複数の選手が動き、スピードをつけて走ったり、ファウルを誘い、セットプレーで得点を取ることも必要でしょう。
 
 私は前回のシンガポール戦のパフォーマンスを繰り返し、そのうえで仕留めるところの精度を高めてほしいと思っています。あの試合は、19、20回ほどのビッグチャンスがありました。私がピッチに入れば(決められた)と冗談で言ったくらいです。まあ私は選手としてパフォーマンスが良くないので、それは無理ですが(笑)。
 
 FKやCKからのゴールがないのも不思議ですね。FKでゴールできる可能性のある選手はいると思っていますし、先日、PKでようやく1点を取れましたが、(これまでPKで1点しか取れていないのは)私にも説明できない部分です。
 
 もちろん、2試合のタクティックも準備しています。このグループでなにができるかの準備です。例えば、藤春が興味深い選手になるかもしれません。カタールはシンガポールに対して、左SBがセンタリングして右SBが決めました。我々もそれが出来るのではないかと思います。
 
 前回のシンガポール戦では相手のGKがミラクルなパフォーマンスを見せていましたし、カタール戦でもシンガポールのGKはミラクルでした。ですが、後半にGKを代えて、その結果4失点しました。そんなことも起きるわけです」