慢性的な肩凝りの原因は筋膜に? (shutterstock.com)

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 最近、テレビ番組などでも取り上げられ、注目を集める「筋膜」。私たちの身体は、筋肉、骨、臓器、神経、血液など多くの器官で構成されている。そのなかでも意外に知られていない器官が筋膜だ。今回は、その働きなどを紹介しよう。

 筋膜は英語で「Fascia」といい、タンパク質からできているコラーゲン繊維の薄い膜のことだ。その名から誤解されがちだが、筋肉だけではなく、あらゆるもの(内臓、血管、神経、骨など)を包んでいる。その役割は「各組織を適切な位置に保つ」ことにある。

 コラーゲン繊維から成っているために、筋膜には可塑性(かそせい)が備わっていることが特徴だ。力を加えて変形を与えると、力を取り去っても歪みがそのまま残る。つまり、一定の力で加わり続けたりすると筋膜が変形して、それの"ネジレ"や"癒着"が起きて、身体にさまざまな影響を与える。

筋膜のネジレや癒着が起こす不調とは

 筋膜がねじれたり癒着したりすると、どのような影響が起こるのか?

 筋膜は全身を包み、全てつながっている。よく「全身タイツを着ている状態」にたとえられる。その全身タイツの一部分が伸び切ってしまったり、癒着して動かなくなったりすると、他の部分にも影響が起こることが想像できるだろう。

 たとえば、肩凝りに悩まされている人は多い。その原因は、もしかしたら筋膜にあるかもしれない。筋膜が重なって癒着してしまうと、その部分の筋肉の動きが悪くなり、慢性的な肩凝りにつながる。

 いくら筋肉をほぐしたり、マッサージをしても肩凝りが取れないのは、原因は筋肉ではなく筋膜にあるからかもしれないからだ。つまり、筋膜のネジレや癒着が凝りの原因になっている可能性がある。

 また、筋膜が重なったり、癒着していたりすると「トリガーポイント」という症状も引き起こすことがわかっている。トリガーポイントとは、簡単にいえば「しこり」のような硬くなった部分。押した場所以外にも痛みが出てしまう「関連痛」が形成される。その原因は、筋膜にあるのではないかとされている。

 さらに筋膜の癒着などが起きると、その包まれている筋肉の可動性が落ちてしまい、脂肪の燃焼が非効率になるといわれている(よってダイエットをする時は筋膜の動きをよくすると同じ運動でもより脂肪が燃焼するということでもある)。

 このように筋膜のトラブルは、身体はさまざまな症状を引き起こしてしまう。では、この筋膜をどのようにケアをしたらいいのだろうか?

筋膜のケアは「はがす」こと

 筋膜のケアは「そのネジレや癒着を取り除く」ということになる。筋膜のネジレや癒着をとる方法はいろいろあるが、自分で行える簡単な方法は道具を使うことだ。

 筋膜はがし(リリース)を行う専用の道具は、アマゾンなどで売っていが、それを使わなくてもテニスボールなどでも代用可能だ。テニスボールを筋膜が硬くなっている(凝り)と思われる部分に押し当てて、ゆっくりと圧をかけながら筋膜をはがしていく。筋膜の癒着が改善され、滑走性がよくなる。ぜひ試してほしい。

 あなたの身体の不調は、もしかしたら筋膜にあるかもしれない。この機会に筋膜に着目してみるのも良いのではないだろうか。
(文=編集部)

監修=三木貴弘(みき・たかひろ)
理学療法士。日本で理学療法士として勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在はクリニック(東京都)に理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。