なにも、本田や宇佐美が代表に不要と主張しているわけではない。前者は試合勘、後者はコンディションに不安を抱えていそうな今回に限っては、選ばなくてもよかったとそう言いたいだけだ。代表にシビアな競争意識を植え付けるためにも、“特別扱い”に見える選考は避けるべきだろう。
 
 9月から川島が招集外のGKは、ここで信頼を勝ち取り、定位置を確保してやるという意気込みで西川がアピールしている。浦和で好調の西川にチャンスを与えるのは当然で、本人もモチベーションを高くして代表活動に取り組んでいる。それに刺激されてか、G大阪の東口もナビスコカップ決勝で好セーブを披露。川島落選という事態を受け、良い競争が繰り広げられるようになった印象だ。
 
 「岡崎は少し疲れている」(ハリルホジッチ監督)のなら、代わりに武藤をCFに先発起用してもいい。先のアウクスブルク戦(ブンデスリーガ11節)でハットトリックを決めた活躍を「スタメン」という形で評価してもらえれば、本人も俄然モチベーションを高めるに違いない。
 
 代表の場に指定席はいらない。アジア2次予選を進行中というタイミングでなら、柏木を招集して柴崎を外すような決断がもっとあっていいはずだ。競争なくして、ロシア・ワールドカップへの道は開けない。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)