10月の招集から6人の入れ替わりがなされたのは、前向きに評価できる。11月5日に発表された日本代表のメンバーである。

 金崎夢生(鹿島)の招集は当然だろう。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「真ん中に少しパワーが足りない」と話し、「クロスを有効利用できる選手を探していた」と、金崎の招集理由を説明した。鹿島で2トップや2列目を任される金崎は、DFを背負いながらしっかりとボールを収めつつ、そのままターンして運んでいくパワーを持つ。決定力なシーンにも確実に顔を出している。

 ひと言で表現すれば、「前へ行く意思をはっきりと感じさせる選手」だ。決定力については改善の余地を残すが、興味深いタレントであることに疑いはない。どのポジションで使うのかは組み合わせ次第になるが、現実的には2列目の左サイドになるだろうか。

「真ん中のパワー」という意味では、もうひとつの選択肢もあったはずだ。

 ハーフナー・マイクである。

 彼が所属するデンハーグは、エールディビジ18チームで13位である。リーグの中堅クラブだ。ここまで11試合で15得点という数字が示すように、攻撃力を強みとしているチームでもない。
 
 限られたチャンスのなかで、ハーフナーは結果を残している。10試合出場で7ゴールは得点ランキング5位タイで、ブンデスリーガで6得点の武藤嘉紀にも見劣りしないと思う。

 タテに速いサッカーを第一の選択肢にすると、ハーフナーは使いにくい。背後への飛び出しにおいては、岡崎慎司や武藤が明らかに先行する。

 だが、ディフェンス重視のシンガポールやカンボジアを相手にする11月の2試合は、スペースと時間が限られたなかでの戦いになる。高さを担保しておく意味はあり、それは追いかける展開でも、リードを守り切る展開でも有効となる。

 ザッケローニ元監督がハーフナーを必要としなかったように、ハリルホジッチ監督も194センチの高さを持て余しているのだろうか。タテに速いサッカーにせよ、ポゼッションスタイルにせよ、「高さ」を生かさないのはもったいないし、物足りない。

 ハリルホジッチ監督は、「35人くらいのグループがある」と話す。前回招集から6人が入れ替わったのは前述したが、現チームで初招集となるのは金崎とGK林彰洋(鳥栖)の2人にとどまる。藤春廣輝(G大阪)、丸山祐市(FC東京)、酒井宏樹(ハノーファー)、遠藤航(湘南)は復帰だ。

 客観的な実力の比較として、シンガポールとカンボジアは格下である。グループ全体の底上げに力点を置いた選手起用が可能だ。

 たとえば、所属クラブでスタメンから外れている本田圭佑ではなく、好調さを示している清武弘嗣を先発で起用してもいいだろう。

 メンバーを入れ替えてもスタメンが変わらない、交代カードもお決まりでは、管理された競争と言わざるを得ない。所属クラブでの実績を反映した選手起用によって、健全な競争を進めていくべきである。