熱い風に乗れ――。ラグビーのワールドカップ(W杯)での日本代表の活躍を受け、7人制ラグビー(セブンズ)の男女の日本代表が7、8日、香港で、リオデジャネイロ五輪アジア予選に挑む。男子は一発勝負。日本の瀬川智広ヘッドコーチ(HC)は「セブンズも優勝して、オリンピックキップを勝ち獲ってきたい」と意気込む。

「15人制(の日本代表)に負けないくらい、我々もきっちり練習をしてきた。国中がラグビー熱で沸いている。ラグビーの魅力は15人制の頑張りで伝わったと思うので、今度はスピーディーなセブンズの魅力を伝えることができればいいなと思います」

 セブンズは15人制と似て非なるものである。7人対7人で、15人制ラグビーと同じフィールドを使って、7分ハーフ(決勝は10分ハーフ)で行なわれる。だから、1人ひとりのスペースが広く、運動量が大きくなる。スピードとプレーの精度、ディシプリン(規律)がより求められることになる。

 セブンズの「ジャパン・ウェイ(日本流)」は『走り勝つ』ことである。瀬川HCが力強い言葉で説明する。

「チームとして成長した部分というのは、チームの総運動量の底上げです。フィットネス的にもベストの数値を出しています。セブンズの経験値ではアジアの国には負けない。決勝にいけば、絶対負けない自信があります」。

 男子は昨季、初めてワールドシリーズに参戦し、チーム力を高めた。9月から始まったアジアシリーズでは、中国、タイ、スリランカの3大会で連続優勝した。今年は春からざっと100日の合宿、海外遠征をやってきた。セブンズ日本代表で10年以上、戦ってきた桑水流(くわずる)裕策主将(コカ・コーラ)は「これまでにないほどの、いい準備ができた。W杯メンバーも合流して、新しい刺激もチーム内に生まれた。日本で起きているラグビーの波を我々が大きくしたい」と自信を膨らませる。

 アジア予選には10カ国・協会が出場する。組分けは日本の最大のライバルとなるホスト協会・香港が有利となっている。A組の日本はプール戦で、初日に中華台北(台湾)、シンガポール、韓国。最終日(2日目)には中国と戦った後、準決勝、決勝を戦うことになる。セブンズは試合時間が短く、勢いに乗ったほうが勝ってしまう怖さがある。

 初日のヤマ場は最後の韓国戦。韓国は五輪出場には目の色を変える若手主体の編成で、フィジカルが強く、勢いに乗ると手がつけられなくなる。勝負のポイントは先取点を取ること。さらには確実なプレー、特にタックルミスをしないことである。

 2日目の初戦は、日本が課題としているところで、よく苦戦する。中国は身体能力が高い。この試合も『入り』がカギを握る。順当にプール1位で勝ち上がれば、準決勝ではスリランカとの対戦が濃厚。スピードがウリのチームなので、まずはセットプレー(キックオフとスクラム、ラインアウト)、コンタクトプレー、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でプレッシャーをかけることが大事だろう。

 決勝の相手は、おそらく香港となるだろう。完全アウェー。ほとんどがセブンズのプロ選手で、マックイーン兄弟ら勝負強い選手がそろっている。ブレイクダウンのスキルが高く、コンタクトエリアから勝負を仕掛けてくるだろう。シンプルにきっちり対応すれば、それほど怖くはない。ディフェンスでの規律がカギを握るだろう。

 日本としては、桑水流主将がキックオフ、ラインアウトで体を張り、ゲームメーカーの坂井克行(豊田自動織機)が判断よくボールを動かす。突破力のあるロテ・トゥキリ(北海道バーバリアンズ)、ロマノ・レメキ(ホンダ)でゲインし、スピード豊かな松井千士(同大)らを走らせたい。

 15人制のW杯メンバーでは、22歳の藤田慶和(早大)が唯一、セブンズ日本代表に参戦する。セブンズの試合感覚に対応するのは難しかろうが、持ち味のゲームメイクセンス、柔軟な動き、巧みなハンドリング技術を生かしてもらいたい。

 藤田は「また日の丸をつけて、オリンピックを懸けて戦えるのはうれしいことです」といかにも楽しそうである。

「(五輪は)世界一のスポーツの祭典なので、そこで一番好きなラグビーをプレーできるのは幸せなこと。まずは(五輪キップを獲って)そのスタートラインに立ちたい。こんなの人生に一回あるかないかでしょ。楽しんだ結果、オリンピックのチケットを勝ち取りたいと思います」

 男子は1位になればリオ五輪出場権を獲得し、2〜4位は五輪世界最終予選に回る。女子は6カ国・協会が参加。香港大会と東京大会(11月28、29日・秩父宮)の勝ち点合計で1位となれば、五輪キップを獲得することになる。

松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu