好調の鹿島を力強く牽引する金崎。積極的なプレーが際立ち、10月に入ってからの6試合で5ゴールを挙げている。(C)SOCCER DIGEST

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 シャツをしっかりとパンツに仕舞い込んだ出で立ちが、180センチ・70キロの痩身をより際立たせる。そんな一見華奢な体型に見合わず、プレーはアグレッシブそのもの。ひとたびアタッキングサードで前を向けば、獰猛な獣のようにゴールに向かっていく――。

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 G大阪とのナビスコカップ決勝で完勝を飾り、第2ステージでも2位につける鹿島を最前線から牽引する金崎が、2010年10月の国際親善試合以来、約5年ぶりとなる日本代表復帰を果たした。
 
「日本代表に選出され光栄ですが、正直、驚いています。自分ひとりの力で選出された訳ではないので、チームメイトにも感謝したいです」
 
 今回のメンバー入りにあたって、金崎はそうコメントしている。しかし最近の並外れたハイパフォーマンスを見れば、メンバー入りは驚きに値しない。
 
 10月に入ってからの鹿島はリーグ戦、天皇杯、ナビスコカップの7試合を戦ったが、金崎はそのうち水戸にPKで敗れた天皇杯3回戦以外の6試合に先発出場。そしてチーム最多の合計26本ものシュートを放ち、そのうち5つがゴールネットを揺らしているのだ。
 
 眼前の相手を振り切って遠目からでもシュートまで持ち込む個の強さは際立ち、サイドに流れてからのドリブルでも局面を打開できる。相手DFの背後への抜け出しもシャープで、なによりプレーに迷いが感じられない。崩しに手数をかけ過ぎてチャンスを逃している感のある日本代表にとって、金崎の積極性はカンフル剤になり得る。
 一方で、代表での役割については一抹の不安も残る。ハリルホジッチ監督は金崎についての第一声で「真ん中に少しパワーが足りない。センタリングを有効に利用できる選手がいないかと探していた」と語り、ターゲットマンとしての起用法を匂わせた。
 
 確かに、金崎は前線でのポストワークも苦にせず、「身体はそこまで大きくないが、デュエルでもボールを身体でプロテクトできる」(ハリルホジッチ監督)。CKからヘディングでのゴールも決めている。しかし、鹿島では現在2トップを組んでおり、相棒の赤粼をはじめ、周囲と絡みながら前線の幅広い範囲に顔を出す機動力もまた、金崎の真骨頂だ。
 
「真ん中だけではなく、たくさんのところで動ける。スピードも使えるし、ヘディングも上手い」(ハリルホジッチ監督)と評価する指揮官が、1トップ起用に固執せず、幅広い戦術を描けるかにも注目したい。
 
 また、久しぶりの代表入りでは当然、周囲とのコンビネーションは皆無。自らの強みをチームメイトに伝えてイメージを共有できるかも、金崎のプレーの質を左右するだろう。今まで、ストロングポイントを発揮できないまま代表から遠ざかった選手は少なくない。
 
 とはいえ、12年からの3年間ドイツ、ポルトガルで揉まれ、鹿島へ入団が決まった際のインタビューでは「(チームに)溶け込もうとは思ってない。仲良し集団で“なあなあ”になったら意味がない」と豪語した男である。
 
「シンガポール、カンボジアとアウェーでの対戦となり、非常に難しい試合になると思いますが、2次予選突破のために少しでもチームの力になりたいです」
 
 その宣言通りに有言実行の輝きを示し、きっと本物の“驚き”を提供してくれるはずだ。
 
文●増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)