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日本時間5日朝6時過ぎにフェイスブックの7-9月決算が、売上高、純利益とも四半期ベースで過去最高更新との結果が発表された。一株当たりの利益が事前予測の52セントを上回る57セント。

絶好調ともいえるフェイスブック株だが、12年5月18日に4億2100万株もの新規株式公開(IPO)したときは、散々な結果だった。公開価格は38ドル。公開直後に瞬間タッチで45ドルまでつけたが、その後、20ドル台を低迷した。

当時、投資とは無縁の大勢の人々がフェイスブックを使っていることで、株式上場に興味を持った。その結果、多くの初心者個人投資家が、フェイスブック新規公開株の買いに動いた。しかし、彼らの夢は無残にも打ち砕かれた。相次ぐ「フラッシュクラッシュ(瞬時の急落)」現象や、取引所のシステム不備の事例などで、株式市場への不信感が募った時期だったのだ。

しかし、フェイスブック株価は13年後半から一転上昇を開始。現在の100ドル台の水準まで、ほぼ一直線で約4倍上がっている。そもそも、ネット関連事業はマネタイズ(収益を生む)が難しいセクターとされてきた。しかし、フェイスブックは様々な付加価値を生むアイディアを実現させ、広告収入も増やした。

今回の決算発表でも、ザッカ―バーグCEOは、フェイスブックの動画プラットフォームが、今や1日80億回の閲覧数を記録していることを強調している。更に、今後の目玉はAI(人口知能)機能。目が不自由なユーザーでも、アップロードされた画像を「閲覧」できる、質疑応答会話機能を開発している。

○フェイスブックと郵政上場の共通項

翻って、今回の郵政上場は先端企業フェイスブックの対極にある巨大国営企業の民営化だ。しかし、郵便局という庶民層に深く浸透しているネットワークが発行する株式ということで、これまで投資とは無縁だった人たちが興味を持ったという点では共通項がある。更に、今後は持続的に収益を成長させるための事業展開が、株価の決め手になることも同じだ。

いっぽう、上場時の景色は全く異なる。

郵政上場は絶好調の滑り出しを見せた。しかし、フェイスブック上場は、過去最大級のIPO売買高に、取引所のシステムがパンクして、顧客からは「売買の注文がとれない」などの苦情が殺到するほどの混乱となった。IPO引き受け会社主幹事モルガン・スタンレー・スミス・バーニー社が、公開価格を死守するため、初日大引け間際の投資家からの売り注文を「全買い」で死守した。とはいえ、IPO幹事証券団は手数料として1億ドルほど得たと米メディアは報じた。個人投資家にとって「後味の悪い新規公開」となったのだ。それに比べると今回は、同じ「鯨」級の上場だが、オールジャパンの幹事証券団がスクラムを組み、国の後押しで、スムーズに事は運んだ。ただ、かんぽ生命株は初日ストップ高で終わるなど、フェイスブックとは対照的に高値圏からの展開が始まったことになる。「これまで投資とは無縁であった人たち」は、売るべきか、持ち続けるべきか、心の葛藤を経験していることだろう。

首尾よく高値圏が維持され、更に巡航速度で株価水準が切り上げってゆくシナリオが長期的に見ると理想的だ。その結果は、ひとえに、成長力の実現にかかっている。初心者投資家も、企業の稼ぐ力を見抜く目を養わねばならない。

○初心者がいだく不安の正体

ラグビーに例えれば、ゲーム開始直後から幸いなことに「アドバンテージ」を得た。とはいえ、今後のゲーム展開は、ターンオーバーされることもあろう。ラグビーは集団競技だが、個人投資家は孤独の戦いを強いられる。幸運な初心者株主は、「アドバンテージ」を生かし、まずは、株式投資についてのお勉強に励むべきだろう。初心者のいだく不安は、殆どの場合、知識不足による「未知への不安」なのだ。じっくり学んでから、次の一手を打っても、遅くはない。

「今回は乗り遅れたが、なんとか私もIPOパーティーに参加したい」と考え始めた初心者たちよ、株についての基礎知識をまず蓄えたうえで参入しても、決して遅くはない。そのことをフェイスブックの事例は示している。

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○著者プロフィール

●豊島逸夫
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。2011年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。 三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく独立系の立場からポジショントーク無しで金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。またツイッターでも情報発信している。
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25歳。仕事や私生活それぞれに悩み不安を抱える年齢ではないだろうか。そんな25歳のあなたへ、日本を代表するアナリスト・豊島逸夫とウーマノミクスの旗手・治部れんげがタッグを組んだ。経済と金融の最新動向をはじめ、キャリア・育児といった幅広い情報をお届けする特別連載。こちらから。

(豊島逸夫事務所)