今のところ絶対の防止策というのはないようだ

写真拡大

妊娠すると、腹部や胸、太ももなどに現れる「妊娠線」。痕を残さないよう、妊娠初期から専用クリームなどでケアをする女性も多いが、まったく効果が見られなかったという声も...。

妊婦の5割以上に出現、「夫に見られるのが苦痛」

妊娠線は、おなかや乳房などが急に大きくなるときに、腹部や胸、太もも、臀部などに現れる。筋肉や脂肪のつき方が早すぎると、表皮の下にある真皮や皮下組織がその変化についていけず、ひび割れたような線ができる。表皮は伸びるので裂けることはないが、内部のひび割れが薄い表皮に透けてミミズ腫れのように見える。最初はピンクや紫色をしているが、次第に赤みが消えて茶色っぽくなり、最後には白っぽい筋が残る。

一般的には妊娠後期に入り、おなかが目立ってくるころに生じやすい。まったくできない人もいれば、スイカのような縞模様がくっきりと現れる人もいる。出現する部位や範囲、濃さなどに個人差はあるものの、5割以上の妊婦に見られる。産後も妊娠線が消えず、「水着が着られない」「夫に見られるのが苦痛で夫婦生活に支障が出た」などの問題を抱える女性も。マイナートラブルとはいえ、妊娠線は産後のQOL(生活の質)に少なからず影響を及ぼすと考えられる。

妊娠線ができやすいのは、急激に体重が増えた人に多い。また、これまでの研究で、経産婦、年齢が若い、妊娠前の体重が多い、赤ちゃんの出生体重が多い、家族に妊娠線ができた人がいることなどがリスク要因として報告されている。

専用クリームでも安い保湿剤でも効果は変わらない?

ベネッセが運営する女性向けウェブサイト「ウイメンズパーク」の掲示板で「妊娠線」と検索すると、多くの体験談が投稿されている。「高価な専用クリームで毎日ケアしていたのに、妊娠線が下腹部にびっしりとできた」「クリームからオイルに変えたらできなかった」「安いボディクリームをたくさん塗ったらできなかった」「何もケアしてなかったけどできなかった」など、予防の方法は人によってまちまちで、効果も定かではない。痕についても、「産後5か月程度でほとんど目立たなくなった」という人もいれば、「1年たっても全く消えないが、これも『母の勲章』と諦めている」「趣味のベリーダンスを再開したので、妊娠線はファンデーションで隠している」という人も。妊娠線はできたが、跡形もなく消えたという投稿は見つからない。

市販されている妊娠線専用のクリームやオイルは2000円前後から1万円を超えるものまでピンキリだ。なかには「できてしまった妊娠線が消える!」などとうたった商品もある。

予防策は「しっかりと保湿」

妊娠線専用クリームやオイルの配合成分は商品によってさまざまだが、代表的な成分の一部について米ミシガン大学が調査したところ、センテラ(和名ツボクサ、ハーブの一種)またはアーモンドオイルで発症と重症度を改善する可能性が認められた。ココアバターとオリーブオイルには効果が見られなかった。研究者チームは「さらなる調査が必要」としているが、選ぶ際のひとつの目安にはなるかもしれない。

できてしまった妊娠線をレーザーや炭酸ガス注入などの方法で目立たなくする治療を行っているクリニックもあるが、湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科部長の山下理絵医師によると、「残念ながら、現状では妊娠線に対する治療で、大多数に効果があると保障されているものはありません。また、効果には個人差もあります。予防策としては、乾燥させないようにしっかりと保湿するようお勧めするしかありません」と言う。絶対に妊娠線をつくらない予防策や、できてしまった妊娠線を完全に消す方法はないが、クリームやオイルなどで保湿をすることは、無駄にはならないようだ。[監修:山下理絵 湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科部長]

参考論文
Stretch marks during pregnancy: a review of topical prevention.
DOI:10.1111/bjd.13426. PMID:25255817

(Aging Style)