秋季関東1部大学バレーボールリーグが18日、全日本のエース石川祐希を擁する中央大の優勝で幕を下ろした。石川はワールドカップ(W杯)出場のためリーグ前半は出場できなかったが、W杯終了後の10月3日、法政大戦から出場。4日には筑波大の高橋健太郎との「NEXT4(※)対決」を制し、満場の観客を魅了した。例年200人程度の観客がこの日は1700人を超し、入場制限がかけられたほどだった。
※南部正司全日本監督が命名した、次世代の男子バレーを担う石川祐希、柳田将洋(サントリー)、高橋健太郎、山内晶大(愛知学院大)のユニット

 しかし10日の東海大戦では、2セットを連取して楽勝モードかと思われたが、ここから東海大の反撃が始まった。大学バレー独特の控え選手たちによる応援団が、この日はフロアでの応援を許されており、東海大が得点するたびに駆け回る。中央大の得点では「キャー!」という黄色い声が上がり、東海大の得点では試合を終えて観戦していた他大学選手たちを含めた低い声が響く異様な雰囲気のなか、試合はフルセットの末に東海大が勝利した。

 この日の石川は体調不良で、それを配慮したかトスがあまり上がらず、相手のディグ(スパイクレシーブ)が素晴らしかったこともあり、他のスパイカーの決定力もセットが進むにつれて落ちていった。石川は試合後、「今日はセッターとのコンビが合わなかったこともあり負けてしまいましたが、自分はエースなので、どんなときも決めきる力をつけていきたい」とコメント。

 その言葉通り、翌日の国士舘大戦、1敗同士で迎えた優勝決定戦の順天堂大戦、最終試合の早稲田大戦と順当に勝利して、秋季リーグを優勝で終えた。

「優勝できたことはうれしいです。 しかし1敗しているし、セットもだいぶ取られているので気を緩めることなく、全日本インカレに向けて臨みたいです。チームとしても個人としてもまだまだ力不足なので、自分たちの弱いところを強化して全日本インカレ、天皇杯に向けて練習していきたい」(石川)

 W杯最終日の記者会見で、石川は「自分は他の人たちと違って(V・プレミアリーグではなく)大学リーグに戻るのですが、そこでも意識を高く持ってリオ五輪に向けて力をつけていきたい」と述べていた。しかし、世界トップリーグのセリエA1準優勝のモデナに留学し、W杯で世界の強豪国とも連戦した彼が、大学でも進化し続けていくことはできるのだろうか。中央大学の松永理生監督にそれをぶつけてみると、「そのテーマで来ますか」とにやり。

「石川が成長していくために必要なものを、大学バレー界を含めて、周りのみんなで探さないといけないかなと思っています。僕個人は(大学でも)成長するものはあると思います。今、彼は国内でやることと海外の選手とやることのギャップの狭間にいるのではないか。日本人同士でやるなら、大学生だろうが企業だろうが、そんなに変わらないと僕は思います。細かい技術やプレーの幅っていうものは、国内でやっていても全然伸ばせる。海外とやるときには、繊細でありながらも大胆でいなければいけないですが。

 高いレベルでやらなきゃダメだっていうのではなくて、将来的にまた彼みたいな選手が大学生で出てきたらどうするのかということを含め、考えていかないといけない。

(国内と海外で)一番違うのがブロックだと思うんですよね。あとはサーブ。でも、海外のサーブは速いんだけど、じゃあ大学リーグでやっているときの石川のレセプション成功率はどうなの? というとそこまですごくいいわけじゃないんですよ。相手に合わせていくというのは大学でも作っていけるんじゃないかなと。ここは本人としっかり話し合って、彼のギャップを埋めてあげないといけないと考えています」

 かつて全日本の中心選手として活躍した中垣内祐一や青山繁らも大学在学中の代表デビューだったが、飛び抜けた能力を持つ選手が大学時代をどう過ごすかはかなり重要な問題だ。現状、バレーボールが企業スポーツであるかぎり、引退後のことを考えれば大学進学はした方がいいけれど、どうしても競技レベル的に見れば、V・プレミアリーグの方が高いのは当然のこと。

 2020年の東京五輪があるからといってリオ五輪を捨てることがあってはならない。東京五輪でよい成績をおさめるためには、その前のリオ五輪に出場し、1つでも多く勝って経験を積まなければならない。今や全日本のキーマンとなった石川には、来年に迫ったリオ五輪のために、ベストな選択をしてほしい。例えば過去に出耒田敬(堺)らが大学に籍を置きつつ、Vリーグでもプレーしていたことがある。規約上道は開かれているので、そのような特例を認めても良いのではないだろうか。

 石川が出場する次の公式戦は全日本大学インカレ。11月30日(月)から12月6日(日)にかけて、大田区総合体育館ほかで行なわれる。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari