元理化学研究所の小保方晴子氏(32)が早稲田大学の博士号取り消し決定に対する反論コメントを発表したことについて、同大は2015年11月4日、「事実と異なるいくつかの点と誤解と思われる指摘がある」として見解を発表した。

小保方氏は博士号の取り消しが発表された11月2日、「決定に失望した」とするコメントを代理人の弁護士を通じ公表していた。

小保方氏のコメントでは、担当教員から「今回は合格する可能性はとても低い」「博士として認めることのできないのは一連の業界の反応を見ても自明なのではないか」と言われたと説明し、「学術的な理由とはかけ離れ、社会風潮を重視した結論を出されたことは明らか」と訴えていた。

これに対して早大は「これらのコメントは前後の文脈を無視した引用」だと指摘。「博士学位論文においては科学的根拠や論理的記述が十分に行われることが必要であることを指摘したもの」に過ぎないと反論している。

また、小保方氏は修正論文提出後、指導教官と1回しかやり取りしないまま不合格と判定されたとし、「当初から不合格を前提とした手続きであり、とても不公正なもの」と主張していた。これについて早大は、「指導教員等は3回にわたり小保方氏のもとを訪れて直接の指導をした」「20通を超えるメールのやり取りや電話によって、論文の訂正に係る指導が行われていた」と説明している。

その上で早大は、「小保方氏の指摘のように『社会風潮を重視した結論』を出すのであれば、1年前に博士学位の取消しを即時に実施したでしょう」「小保方氏もご自身のすぐれない健康状態のなかで最大限の努力をされ、また本学の指導教授も例外的な配慮を払いながら指導を行ってまいりました」として、今回の決定に不備がなかったことを強調した。