朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)11月3日(火)放送。第6週「妻の決心、夫の決意」第32話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:佐々木善春


32話は、こんな話


加野屋にやって来た忠興(升毅)は、あさが炭坑商売に夢中で、旦那さん新次郎(玉木宏)の世話をしないことを厳しく叱る。
だが、あさの炭坑への思いは強まるばかりで、嫁入り道具を売ることまで考える。
そんなあさを横目に、新次郎はまた三味線の師匠・美和(野々すみ花)の元へーー

子供から大人へ


「(姉との人生を比べて)何が幸せかなんてわからへん」と言って、忠興に「大人びたことを言って」と感心させるあさ。
それまでは、忠興にとってあさは、おいどを叩いて叱らないといけないような子供だったのが、ようやくその認識が変化して、あさが成長していることを認めていく。
そして、炭坑商いの可能性には同意しつつ、その厳しさーーしっかりした男の棟梁が必要であるなどとアドバイスもする。
さすが、新政府に認められて、日本経済の中心を担う実業家になったおひと。
舅・正吉(近藤正臣)は、あさを認めていて支えにはなってくれそうだが、むしろ彼女についていこうという感じがするのに比べて、あさに厳しく言えるのはやっぱり実父の忠興だけなのだ。

それにつけても、忠興、眉山家を助けてあげてもいいんじゃないかとどうしても思ってしまうが・・・そこはじっと我慢なのか。

新次郎と近松


新次郎が読んでいた近松門左衛門の「御曹司初寅詣」は、室町時代に書かれた「義経記」を下敷きに書かれた歌舞伎で、源義経が、鬼一法眼という陰陽師から兵法書を獲得するために、娘の恋心を利用するお話だとか。
注目したい点は、鬼一法眼の住居が、京都の一条堀川であることだ。陰陽師で有名な晴明神社があるあたりで、そのそばに、あさのモデルの広岡浅子の実家・三井家があった。
新次郎は、あさの実家のことを考えてこの本を読んでいたのか、単なる偶然か、ということも気になるし、それよりも重要なのは、近松を読むにしても、道ならぬ恋もの(心中もの)ではなくて、義経ものだというところ。
そんな新次郎だから、チャラそうに見えて意外と、三味線の師匠・美和に色気を発揮しないのでは? そう信じる根拠にはならないだろうか。
(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから