学生の窓口編集部

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「ちょっと駐めただけなのに!」的なモメゴトの多い駐車違反。現在はお巡りさんに代わって駐車監視員が主流になっているが、活動を妨害すると「公務執行(こうむしっこう)妨害」になるのはご存じだろうか?

公務執行妨害はその名の通り「公務員の職務」を妨害することを意味し、暴力はもちろん脅迫まがいの言葉を放っても3年以下の懲役が科せられる。役所の窓口で暴れたり公立学校での授業妨害など、相手がお巡りさんでなくても成立するし、駐車監視員も公務員「扱い」なので、駐車違反に逆ギレするとこの罪に問われることになるのだ。

■授業妨害も公務執行妨害
刑事ドラマでおなじみの公務執行妨害の正式名称は刑法・95条(公務執行妨害および職務強要)で、
 ・暴行や脅迫によって公務員の職務を妨害した場合
 ・なにかをさせる/させない、辞めさせるために暴行や脅迫した場合
に3年以下の懲役、禁固、50万円以下の罰金が科せられる。「公務員」と定められているように、対象はお巡りさんだけではない。市役所の職員や公立学校の先生がおこなっている職務をジャマしたり、ほかのことをさせようとしても同様に罪に問われるのだ。

以前紹介したように、暴行は相手のからだに触れる「暴力」だけでなく、大声をあげる、机やいすを蹴り飛ばすなども含まれるし、「ヒドい目にあわせるゾ!」「いつか復讐してやる!」的な言葉も脅迫として扱われる。役所の窓口でモメた結果、暴れて「公務執行妨害」になったケースもあるので、なにか気に入らないことが起きても「おとなの対応」が重要。激高して手がつけられなくなったら「逮捕」もあり得るのでご注意を。

■サラリーマンでも「公務」になる?
お巡りさんではない「駐車監視員」はどうなるのか? 公務員ではない、のは事実だが、国から委託された業務なので公務員「扱い」となり、やはり公務執行妨害が適用される。
民間企業で働いていても、公共性の高い仕事をしているひとは「みなし公務員」と呼ばれ、公務員と同様に扱われる。駐車監視員はまさに代表例で、東京都の場合は、
 ・東京都公安委員会が登録
 ・警察署が「放置車両確認機関」として委託
した企業でないと、この業務をおこなうことができない。駐車違反の取り締まりに関しては警察の「代わり」なので、公務員と同じ役割と権限を持っているのだ。

お巡りさんの制服を着ていないからだろうか、「ちょっと駐めただけでしょ!」「他にも違反してるクルマがあるのに!」的にモメているシーンを多く見かけるが、民間企業のひとだからと乱暴な振る舞いをすると公務執行妨害が上乗せされる可能性もある。ほかにも、みなし公務員とは明言されていないものの、元・電電公社な電話会社も「公共性が高い」ことが理由で「公務員に準じた扱い」になる。民営化された企業なのに公務執行妨害と、フシギな現象も起こりえるのだ。

公務は「仕事中」の意味なので、それを除けば公務員だから公務執行妨害、とはならない。もし仕事以外でのできごとなら、
 ・刑法・208条(暴行) … 2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金 または 拘留
 ・刑法・222条(脅迫) … 2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金
と、フツウに犯罪となる。もし駐車違反じゃないと主張するなら「弁明通知書」、窓口サービスに対する不満は「行政相談」が存在するので、それらを利用するのが良いだろう。

■まとめ
 ・公務員の仕事をジャマすると「公務執行妨害」になる
 ・駐車監視員に代表される民間企業のひとでも、「みなし公務員」が存在する
 ・役所の窓口で暴れて、逮捕されたケースもある