退団を決意したオリックス・坂口智隆【写真:編集部】

写真拡大

大物も含まれる今季戦力外…まだ輝ける選手、活躍できる球団は?

 日本シリーズが終わり、プロ野球はオフシーズンに突入した。フリーエージェント(FA)権を取得した選手の去就について様々な報道が出る中、戦力外となった選手の今後にも大きな注目が集まっている。今オフも大物の名前が含まれており、他にも確かな実績がある選手や、才能を発揮しきれずに放出された若手がいるだけに、ニーズに合わせて獲得に動く球団は間違いなくあるだろう。

 では、戦力外となった中でも、まだ十分に力を秘めている選手、もう一花咲かせられる日本人選手は誰なのか。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍してきた野球解説者の野口寿浩氏は、真っ先に巨人を戦力外となった久保裕也の名前を挙げた。

「まだ絶対に(他球団で)いけると思いますよ。名前だけで抑えられるピッチャーと言ったら、今年の戦力外の中では久保が筆頭ですからね」

 すでに複数球団が興味を示しているとの報道もあるが、その力は健在との見方は多いようだ。さらに、同じ中継ぎ右腕では藤江均(前楽天)、平野将光(前西武)も十分に戦力になりうる投手だという。

「使い方によっては絶対に面白いのが藤江ですね。球は速くないですけど、コントロールがいいですから。変化球も多彩です。カーブ、カットのようなスライダー、フォーク、チェンジアップ、シュートを投げられて、面白い存在です。DeNAが昨オフに戦力外にして、楽天が拾いましたけど、その時もDeNAはピッチャーがいないのに、なんで切ったんだろうという感じでしたから。自分が現役の時には、西武の平野はチャンスをもらえずに2軍のエースだったんですけど、シュート、スライダーがメインで、いいピッチャーですよ」

能力の高い選手が揃う外野手、各球団にとっても大きな補強に?

 中継ぎ投手では、左投手の需要も間違いなく高いと野口氏は見ている。ロッテを戦力外となった中後悠平、服部泰卓、植松優友は面白い存在だ。

「先発だろうが中継ぎだろうが、左投手は需要があると思います。中後、服部、植松は、みんなチャンスがあるのではないでしょうか。2年連続日本一のソフトバンクだって、左投手はいない。森福が不調だったこともあって、日本シリーズでは左ピッチャーを1人も使っていません。それでも、勝ってしまいましたけど。でも、この3人はチャンスがあると思います」

 さらに、同じロッテで名前が挙がったのは捕手の川本良平だ。今季は、楽天の嶋基宏、西武の炭谷銀仁朗、日本ハムの大野奨太がFA権を取得。行使すれば争奪戦になるとも予想されたが、全員が残留を表明した。

 野口氏は「川本は打つ方もいいし、絶対に需要はあります。FA権を取った選手が早々とみんな残留を表明してしまったので、捕手の補強を目指していた球団の人気がこういうところに集まるんじゃないでしょうか」と予想する。

 そして、各球団にとって大きな補強となりそうなのが、外野手だという。オリックスを戦力外となった鉄平、年俸の大幅減で退団を決意した坂口智隆、そして日本ハムを戦力外となった鵜久森淳志は、「どこかが獲るでしょうね」と野口氏は言う。今季、2軍では打率4割6厘と結果を残していた鉄平については「ファームがウェスタン・リーグの球団のどこかが獲るんじゃないでしょうか。ソフトバンク以外なら合うと思います」と予想した。

 また、高校時代にスラッガーとして甲子園を沸かせた鵜久森は「どこかに獲ってほしい選手」だという。「日本ハムでは中田翔、陽岱鋼がいて、なかなか入り込んでいけなかっただけだと思います。もうちょっと外野で勝負できる環境にあれば、まだまだいけると思います」と指摘する野口氏が、1つ目の候補として挙げるのが阪神だ。

「マートンが抜ける可能性が高くて、レフトをどうしようかと言っているチーム。外国人を入れるのか、日本人でまかなうのか。日本人でまかなうとなった時に候補の1人に加われると思います」

ヤクルトは坂口と鵜久森の同時獲得に踏み切ってもいい? 北方、勧野も「素材はいい」

 さらに、セ・リーグを制覇したヤクルトもフィットすると予想する。ヤクルトについては、坂口と同時獲得に踏み切っても使い方はあるという。

「今回の日本シリーズを見ていても、ヤクルトは外野手が足りていない。特に右の外野手が足りていないですよね。比屋根とか足のある選手はいても、もう1枚はどうしようかというところです。代打で控える右バッターを考えると、今のメンバーでは少し小粒な気がします。鵜久森にはファーストを練習させて、両方できるようにしておいてもいいかもしれない。

 あとは坂口。まだまだ出来る選手です。センターで起用できる。気持よくプレーさせれば、とんでもないところにいく能力があります。坂口が1、2番にいたら、相手は嫌ですよね」

 リーグ覇者がどんな動きを見せるのか、注目が集まるところだ。

 そして、野口氏が最後に名前を挙げたのは、ソフトバンクの育成契約から戦力外となった北方悠誠投手、勧野甲輝内野手の若手2人。希望も込めて、こう指摘する。

「ぴったり合う指導者についたら変わると思います。彼らが所属していたソフトバンクとか横浜、楽天の指導者が悪いわけではなくて、指導が合う、合わないというのはあるので。だから、これまでは少し合わなかったのかなと思います。素材はいいだけに、もう少し大きく育って欲しい」

 戦力外通告を受けた中から、どれだけの選手が新天地を見つけ、そして復活を遂げられるのか。それぞれの再スタートから目が離せない。