今大会2度目の勝利 ツアー通算10勝目を挙げた(撮影:ALBA)

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<マイナビABCチャンピオンシップ 最終日◇1日◇ABCゴルフ倶楽部(7,130ヤード・パー71)>
 最終日に“65”を出した宮本勝昌、終盤にバーディを集めて浮上した片岡大育の猛追も届かなかった。首位タイから出た金庚泰(韓国)は、前半1つスコアを落とす苦しい展開も後半に3つのバーディを奪ってトータル12アンダーフィニッシュ。全選手中唯一、4日間60台を並べて今季5勝目を完全優勝で飾った。年間5勝は2001年の伊沢利光以来、20代でのツアー通算10勝到達は2012年に10勝目を挙げた石川遼以来史上8人目の快挙となる。

 勝負の分かれ目となったのは、1つスコアを落として迎えたサンデーバックナインの入り口だ。「ショットが悪くて結構、大変だった」と悪い流れで終えた前半9ホール。フェアウェイバンカーからのセカンドはアゴが近い難しいライ。「ピンまでは170ヤード。7番で普通に打ったら当たるけど、8番だとエッジに届くか届かないかくらい。フェースをオープンにして無理して打ったら良かった」とグリーンをとらえると、約12メートルを放り込んでこの日初バーディ。そこからは盤石の9ホールだった。
 多くの選手が悲鳴を上げる高速グリーンも「昔はもっと速かったし、このスピードが一番好き。加速しながらカップに入る感じがイメージが出る」と苦にしない。「今回も長いパットが10回以上は入っている。グリーンに乗れば一回くらい入ってくれるんじゃないかなと思っていた」。チャンスをスコアにつなげて一度流れをつかむと最後まで離さないのは“鬼”と呼ばれる強さのゆえんだ。
 今大会の金曜日には谷口徹に「もう勝たんでええやろ」とちょっかいをかけられた。しかし、ツアーを思う47歳は最後には「女子には負けるなよ」とキョンテを激励していた。現在女子ツアーはイ・ボミ(韓国)が約1億9,000万円を稼ぎだして2億円に届こうかという勢い。賞金王の獲得賞金が賞金女王に負けてほしくない。かつての賞金王から賞金王に送るプライドをかけたエールだった。
 これには「どうしたら良いのか(笑)」と苦笑いで応えたものの、今大会の勝利で獲得賞金は約1億5,700万円となり、ボミに負けじと2億円も視野に入ってきた。「2億円とかは、試合に入ったら何も考えていないし、お金のことを考えていたら上手くならない」と気にすることはないが、奇しくも谷口のエールが届いた形だ。
 賞金王獲得後は米ツアーに挑戦。しかし、飛距離を求めるあまりスイングを乱し、ボロボロになって帰ってきた。一度味わったどん底から「2010年は手の感覚で打っていたけど、今は大きな筋肉でスイングできている」と今は強振すれば300ヤード近く飛ばす。5年かけて身につけた新たなスイングは「長くキープしたい」と賞金よりも大事な宝物だ。
 次週は松山英樹ら世界から強豪が集まる「WGC-HSBCチャンピオンズ」。「前に出た時より状態は良いから、今のスイングでどこまでやれるか楽しみ」。谷口さん、期待度は女子にも負けていませんよ―。
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