リオ五輪へ求められるユーティリティ性…U22日本代表の鍵となるポジションとは

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 U−22日本代表が、久しぶりに明るい話題に包まれた。29日に行われたサガン鳥栖との練習試合で、7−0で大勝したのである。

 8月に京都サンガF.C.に敗れ、9月にはJリーグ・アンダー22選抜として出場したJ3リーグでFC町田ゼルビアに屈した。27日の福岡大との練習試合も、スコアレスドローに終わっていた。

 来年1月のリオ五輪最終予選へ向けて不安が渦巻くなかで、手倉森誠監督は泰然自若としていた。十分なトレーニングを積んだ末の結果ではなく、メンバーにも様々な制約があったからである。

 今回の鳥栖戦は違った。キャプテンの遠藤航(湘南ベルマーレ)が発熱で欠場し、フィールドプレーヤーを漏れなく起用したなかで、きっちり結果を残した。初招集の選手がいたことも、忘れてはならない。トレーニングさえできればチームはきっちり仕上がっていくとの手応えを、指揮官は掴んだはずだ。

 メディアの注目を集めたのは、初招集の関根貴大だった。浦和レッズで躍動感溢れるプレーを見せる20歳は、福岡大、鳥栖との練習試合で4−4−2の2列目を任され、チームの戦力と成り得ることを証明した。

 もっとも、関根がアピールした2列目のポジションは、人材が手薄ではない。今回の合宿に招集された選手でも、常連の野津田岳人(サンフレッチェ広島)や矢島慎也(ファジアーノ岡山)をはじめとして、前田直輝(松本山雅FC)、鎌田大地(鳥栖)、為田大貴(大分トリニータ)らが起用された。2トップの一角やトップ下で起用され、攻撃のコアメンバーである中島翔哉(FC東京)も、鳥栖戦では2列目でプレーしている。最終予選での合流が濃厚な南野拓実(ザルツブルク)も、2列目の有力な候補だ。選択肢は豊富であり、救世主の登場が待たれるポジションではない。

 むしろ気になるのは、サイドバックだろう。3月のリオ五輪1次予選では、松原健(アルビレックス新潟)が右サイド、山中亮輔(柏レイソル)が左サイドのファーストチョイスだった。しかし、松原は4月に右足を手術し、長期の戦線離脱を強いられている。山中は希少なレフティーというセールスポイントを持つが、所属クラブでポジションをつかみきれていない。

 現時点でポジション争いの先頭を走るのは、亀川諒史だろう。左右両サイドでプレーできる亀川は、期限付き移籍中のアビスパ福岡でユーティリティ性を発揮している。中盤でプレーできる汎用性の高さも魅力だ。鳥栖戦では左サイドで先発し、タテへの力強い突破を披露した。その鳥栖戦で右サイドのスタートメンバーを務めたのは、明治大学の室屋成だった。室屋も左右両サイドでプレーでき、1次予選にも出場している。

 今合宿で初選出された中野嘉大(川崎フロンターレ)は、最終ラインの左右両サイドでテストされた。所属クラブでは中盤が定位置だが、このチームではサイドバックの候補に名を連ねる。また、鳥栖戦ではボランチの喜田拓也(横浜F・マリノス)が左サイドで、センターバックの中谷進之介が右サイドで起用された。

 本職ではない選手をこれだけテストしているのは、「集中開催の最終予選では、ひとりでふたつのポジションができるのは絶対的に必要だ」と、手倉森監督が考えているから。限られた人数でチームのクオリティを保つには、どれだけオプションを持っているかが問われる。

 実際に喜田と中谷のテストは、非常に興味深いものがあった。とりわけセンターバックをサイドに置くのは、かつて采配を振るったベガルタ仙台でも取り入れていたもの。対戦相手の特徴や試合展開によっては、最終予選でも見られるかもしれない。

 同時に指揮官は、2列目とは違う種類の悩みをサイドバックに感じているのではないだろうか。リオ五輪の出場権を獲得するための、ポイントとなるポジションである。

文=戸塚啓