スタンドで視察したヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、首を傾げたかもしれない。自らが率いる日本代表ができていないことを、U−22日本代表が鮮やかに実践していたからである。

 10月25日からトレーニングキャンプを行っていたU−22日本代表は、キャンプ最終日の29日にサガン鳥栖と練習試合を行なった。結果は7対0(!)の大勝だった。

 サガン鳥栖のスタメンには、豊田陽平も、金民友も、水沼宏太も、林彰洋もいなかった。攻撃のジョーカーとなる鎌田大地は、対戦相手のユニフォームを着ている。

 鳥栖のメンバーは主力を除いたものだったが、彼らのホームスタジアムで試合は行われた。平日の午前中にもかかわらず、チャンスに声をあげるファンが詰めかけていた。無様な試合はできないはずだったものの、U−22日本代表の出来は彼らの予想を上回ったのだろう。

 キックオフ直後から荒野拓馬と金森健志の2トップが、前線から激しいチェイシングで相手守備陣にプレッシャーをかける。それによってパスコースが限定され、コンパクトな陣形からマイボールの時間を長くしていく。2列目の選手が相手選手の「間」でボールを引き出し、選手同士がワンタッチでパスをつなげる距離感を保つ。コンビネーションを生み出して相手ゴールへ迫り、ピッチの幅を生かしたポゼッションの時間を作り、タテに速い攻撃も織り交ぜる。

 22歳以下の選手たちが見せるゲームコントロールは、鳥栖の対応の一歩先を行くものだった。時間の経過とともに、一歩ではなく二歩になった。その結果が7対0の大勝である。

 ハリルホジッチ監督の指示が縛めとなり、選手たちが個性を発揮しきれていない日本代表とは、あまりに対照的だった。しかも、出場時間を考慮してフィールドプレーヤーをひんぱんに入れ替え、初招集の選手も含まれていたなかで、チームとしての機能性を損なわなかったのである。連動性という意味では、日本代表を圧倒的に凌駕していた。「練習時間が足りない」と嘆くハリルホジッチ監督に、このチームが見せた即興性はどう映ったのだろう。

 手倉森誠監督は、日本人の良さを引き出している。