昨季、ノーシードながら主催者推薦などで出場権を得た試合で、何度となく上位争いを演じた香妻琴乃(こうづま・ことの/23歳)。そのビジュアルのよさも相まって、一気に注目度が高まる中、最終的には賞金ランキング19位という好成績を収めて、初のシード権を獲得した。

 そして迎えた今季、さらなる飛躍が期待されたが、開幕から不振に陥った。予選落ちを重ね、予選を突破しても、下位に甘んじることが多かった。おかげで前半戦、賞金ランキングはシード圏外の50位以下にずっと沈んでいた。

 その苦しい時期について、香妻が振り返る。

「(不振の原因は)正直に話せば、開幕に向けてうまく調整できないまま、シーズンに入ってしまった点にあります。そのうえで、腰痛の影響もあって、うまくいく感覚はありませんでした。結局前半戦は、その腰痛とどう付き合ってシーズンを過ごしていくか、そのことだけを考えながらプレーしていました」

 だが、腰痛と向き合いながらプレーすることは、決して簡単なことではなかった。

「グリーンでラインを読むときに、しゃがんで立つたびに(腰が)痛んだ。もうそれだけでリズムが狂ってしまって、プレー全体のルーティーンまでおかしくなってしまいました」

 腰痛によって思うようにプレーできない香妻は苛立ちを隠せなかった。それがまた、プレーに影響して、スコアを崩した。前半戦の香妻は、すべての流れが悪いほうに向いていた。

 たまらず、6月末に前半戦を終えると、香妻はトレーニング方法を見直した。それまで、腰の痛みに耐えられる筋力をつけるトレーニングを重点的に行なってきたが、その時間を減らして、負荷も軽くした。代わりに、ショットやパットなどの実践的な練習に時間を割いた。それが、いい流れを生み出した。

「(後半戦のスタートとなる)サマンサタバサガールズコレクション・レディース(7月17日〜19日/茨城県)の頃から、腰の痛みが少しずつ和らいできたんです。それからパッティングも、ニトリレディス(8月28日〜30日/北海道)あたりから、いいストロークができるようになりました」

 ニトリレディスでは、単独10位でフィニッシュ。今季初のトップ10入りを果たした。以降、好不調の波がありつつも、いいときは優勝争いにも顔を出すようになった。日本女子オープン(10月1日〜4日/石川県)で6位タイ、スタンレーレディス(10月9日〜11日/静岡県)では5位タイと、2週連続でトップ10入りした。

「ここに来て、パットがすごくよくなってきたんです。(2週連続トップ10入りしたときは)すごくいい手応えがあって、自分の思ったところに打てていました。グリーンを外したときのリカバリーもよくなってきて、(ショートゲームにおいては)自信を持って打てるようになってきました」

 腰の調子がよくなってきたおかげで、日々の練習量も増やせるようになった。最近は、ホールアウト後にも入念にパッティングの練習を行なっている。試合前の練習日には、夕暮れまで練習グリーンにいる香妻の姿を見かけることも珍しくない。それが、後半戦の安定した成績につながっているのだろう。

 結果、賞金ランキングはついにシード権獲得圏内の50位以内まで上がってきた。10月29日現在、獲得賞金は1795万3833円、賞金ランク48位という位置につけている。

 しかし、シード権獲得には、まだ予断を許さない状況にある。獲得賞金の差が数百万円ほどの選手たちが、50位前後にひしめき合っているからだ。その現状を、香妻自身はどう捉えているのだろうか。

「シード権獲得ラインを気にしないと言ったら嘘になりますけど、結果というのは、自分が最後までベストを尽くして、その後についてくるもの。もし賞金シードが取れなくても、QTがありますから、(シード権獲得に向けて)特別何かをすることはありませんし、そこまで追い込まれている感じもありません。とにかく今は、残りの試合で優勝することしか考えていません」

 そして、香妻は少し考えてから、こう続けた。

「(2年連続賞金シード獲得へ)周囲から期待されているのは、わかっています。でも、私のゴルフ人生は、今年で終わるわけではありません。来年も、再来年も続いていきます。ですから、目先のシード権争いだけに神経を尖らすようなことはありません。常に目標としているのは、ツアー優勝だけです。

 また、私には長期的な計画として、26〜28歳くらいのときに自分のピークを持っていけたら最高だな、という思いがあります。というのも、その年齢を迎えたときに、東京五輪が開催されるからです。ツアー優勝が短期的な目標なら、五輪出場というのが、私の長期的な目標です。それぞれの目標に向けて、これからもしっかりとゴルフを続けていけば、自ずと結果はついてくると思っています。そのためにも、これからも自分が考えていくことは、どうすれば成長できるか、ということだけです」

 香妻は、明確な目標を設定して、そのための努力を日々重ねている。ゆえに、シード権争いにおいてギリギリの状況にあっても、ジタバタすることはないし、焦ることもない。レギュラーツアーの残り4試合、このまま平常心を保って、自らのペースでやっていけば、自然とシード権は転がり込んでくるだろう。

text by Kim Myung-Wook