五度目の挑戦でついにラスボス「田中」を撃破した内村航平さんら体操日本代表が、悲願の団体金メダルを獲得の巻。
ついに「田中」を倒したぞ!

日本が誇るスーパーアスリート・内村航平さんが、悲願のメダルを手に入れました。29日に行なわれた世界体操選手権・男子団体決勝。昨年の同大会では地元判定を疑いたくなるような採点で「わずか0.1点差」で敗れた日本代表が、ついにライバル中国を乗り越え、金メダルを獲得したのです。世界大会で言えば「栄光の架橋」のアテネ五輪以来、世界選手権に限れば37年ぶりの王座奪還でした。

しかし、あえて言いたい。日本は中国に勝ったのではない、と。

日本はこれまで中国と戦っていると思い込んできました。確かに、結果的に上に立っていたのは中国ですし、中国にも勝たなければならなかったことは事実。しかし、実際にはこの戦いは「日本VS中国」ではなく、「日本VS中国、日本VS●●」の2連戦だった。2連勝して初めて金メダルに到達する戦いだったのです。

「●●」に入る2文字、それは「田中」。まさか身内にラスボスがいるとは天下の内村航平さんですら気づかなかったでしょう。この6年間、日本代表の仲間となってチームを助けながら、同時に土壇場で日本を下してきた真のラスボス「田中」。今大会は日本がついに田中を乗り越えた……そのように受け止めたいもの。

田中は最後まで手強かった。もはや中国は敵ではなく、イギリスの後塵を拝してグダッている状況でありながら、紙一重の緊迫にまで追い込まれたのは田中の存在があればこそ。最終2種目、田中が演技を始める段階では日本は4.093点差のリードを築いていました。「4回落下しても勝てるんじゃね?」という大量リードです。しかし、田中は2度の自力落下と演技構成の大幅変更で「ひとりで実質3回落下」の猛攻を見せたのです。

「き、貴様が真の敵だったのかッ!!」

衝撃の展開は、6種目めの登場で疲労を隠せない内村航平さんをも鉄棒での落下に追い込みました。「4点差あったのに全部吐き出した!」と慄く観衆。もうひとつ大過失があれば負けてしまうかもしれないという状況を跳ね除けられたのは、内村航平という史上最高の選手があればこそでした。それほどに田中は手強かった。しかし、とうとう日本は勝った。長男・和仁、長女・理恵、そして次男・佑典。恐るべき田中ラスボス三きょうだいとの永き戦いに終止符を打って…!

ということで、田中との過去の死闘を振り返りつつ、RPG超大作「2015世界体操選手権男子団体決勝」のエンディングを迎えていきましょう。

◆勇者・内村の前に立ちはだかってきた田中は、恐るべき敵だった!

予め説明しておきますが、田中自身には自分がラスボスであるという意識はありません。ジキル&ハイド系の敵とお考えください。一緒に戦う仲間として心の底からチームのために戦っているのに、ここぞというところで彼らは何らかのスイッチを入れ、やおらラスボスとして日本に立ちはだかるのです。そこに悪意はありません。ボスを憎んで、田中を憎まず。とは言え、悪意があろうがなかろうが、エンディングを迎えるには田中を倒さねばならない。それだけです。

2008年の北京五輪。内村航平さんが初めて代表入りをはたした世界大会、そこに田中の姿はありませんでした。それは「まだ田中が直接手を下すまでもない」ということだったのかもしれません。当時の日本は中国から大きく水をあけられていました。団体決勝での最終的な点差、5.125点。勝ち負けを論じる段階ですらない大差を、ラスボスは居城から見守っていたのでしょう。

しかし、同時に脅威も感じていた。「内村とかいう勇者、捨て置けんな…」と。田中は動き出します。自らもチームの一員として団体戦に加わり、密かに勇者を亡き者とせんと。まず送り込まれたのは長兄・和仁。平行棒で世界トップクラスのチカラを誇り、総合力にも長けた和仁は2009年の世界選手権で日本代表に加わります。2009年大会は団体戦の開催がなく、和仁は誰にも疑われることなく静かに実績を積みます。

そして、2010年大会。すでに世界の王者となっていた内村さんの圧巻のゆか演技などで、ドイツ・中国らと互角の戦いを繰り広げていた日本。5種目を終えたところで首位・中国との差は0.794点ビハインドでした。最後の鉄棒で上回れば勝てるかもしれない、可能性が見えてきたとき「田中」は出現します。

↓田中和仁、離れ技ではなくひねり技でのまさかの落下!(55秒頃から)


この大過失があり、日本は中国に敗れた!

最終的な点差は1.228点差!

落下による1点減点と、出来栄えのマイナスを考慮すれば、田中に敗れたと言っても過言ではない!

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つづく2011年大会は日本での開催でした。地元採点があれば勝ってしまうのではないか。そんなことを田中は考えたでしょうか。この大会、田中は和仁に加え、佑典を代表に送り込んできます。順調に得点を重ねた日本は4種目を終えた段階で首位とし、平行棒・鉄棒に臨みます。平行棒・鉄棒で強みを持つ田中は、まず平行棒で15点台中盤から後半の高得点を並べます。先に鉄棒を演技した中国に5種目終了時点では0.609点のリードを許しますが、逆転は射程圏内でした。しかし、勝利に手が届きそうなとき「田中」は出現するのです。

↓田中佑典、コバチで痛恨の落下!うずくまって頭を抱える!(30秒過ぎから)


この落下を受け、逆転のためには16.768点が必要となった最終演技者内村さんは、連鎖するようにコバチで落下!

またしても日本、田中に敗れる!

この大会のあと、佑典は「銀でもうれしい」という強がりコメントを残し、内村さんをムッとさせるという悶着を起こします。佑典としては落胆する周囲を慮っての強がりだったようですが、団体野郎内村さんは「僕の気持ちも考えてくれ」とイライラ。この頃からでしょうか、一部ファンの間で「田中がラスボスじゃね?」という憶測が流れ始めたのは。

↓のちに佑典は「銀でもうれしい」発言を撤回!ともに団体金メダルを目指すことを誓う!

田中は味方か!?

それとも敵か!?

2012年ロンドン五輪。和仁、佑典は再び日本代表として世界大会に臨みます。最初の種目・つり輪を終えたところでトップに立った日本ですが、2種目めの跳馬で負傷者が出るアクシデント。この時点で金メダルは絶望的となりますが、さらに畳み掛けてきたのが田中。ゆかで和仁が13点台の低調な演技を繰り出し、さらに最終種目あん馬でも和仁が落下。金は絶対不可能という状況に追い込まれた最終演技者・内村さんは、ちょっとどうでもいい感じになってしまい、あん馬の降り技でバランスを大きく崩す大失敗。あわやメダル逸というところにまで追い込まれます。

↓田中2人を相手にするのは内村さんでも難しかったか、最後はチカラ尽きるようにドタバタ!


内村:「五輪には魔物がいた」
内村:「ずっと何かと戦っていた」
内村:「魔物とずっと戦ってたのかな…」

魔物かな?

魔物じゃないよ、田中だよ!

2013年の世界選手権では団体戦はなく、2014年は記憶にも新しい0.1点差に泣いた銀でした。0.1点差ということでもあり、目立った過失もないということで、さすがにココは田中無関係かと思いきや、しっかり0.1点分の仕事はしていくのが田中。この大会ではひとり魔物となった佑典は、高得点を期待された平行棒で大きくバランスを崩し、ほとんど静止するという大過失。個人総合では15.883点を出した得意種目で、15.166点という低調なデキにとどまります。中国にも平行棒で棒上に落下する大過失があったにもかかわらず、4種目終了時点で1.283点あったリードを0.991点にまで縮めたことで、最終種目鉄棒での大逆転を許すことになりました。

↓誰のせいとは言えないが、田中がベストの演技なら当然勝っていた戦いだった!仮に相手が奇跡的な演技を見せたとしても!


そりゃ加藤や内村さんにもミスはあるが、加藤や内村さんは5種目出てるんだ!

平行棒はしっかりやってくれんと困る!

手強いな、田中!

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過去の戦いを振り返るだけでグッタリするほどの分量になってしまいました。迎えた2015年、ハイテンションで「ふしぎ発見」のレポーターみたいなスコットランド紹介をする田中(理恵)さんの解説で、男子団体決勝は始まります。田中の出番までに勝負を決めようと、これでもかこれでもかと攻める日本。ゆかでは白井健三らの異次元演技で、47.258点のロケットダッシュ。その後も順調にリードを広げ、4種目を終えた時点で4.193点の大量リードを築きます。

落下が1点減点と言われるところでの4点差。「3回落ちてもまだ勝てる」というリードに、さすがに楽観ムードも流れます。しかし、最後の2種目、平行棒と鉄棒は中国の得意種目。そして、田中の登場種目。中国には勝てるかもしれないが、田中に勝てるかどうかはわからない。これまで何度も日本に煮え湯を飲ませてきた田中とのラストバトルの始まりです!

↓一部の心ないファンからは、田中警報が発令された!

テキトーに言ってるんじゃないぞ!

歴史の積み重ねで言ってるんだからな!

↓まず平行棒で田中は1回目の落下!日本のライフをひとつ削る!(1分40秒頃から)


シャルロという倒立技で落下!

田中、どこまでも恐るべき魔物!

5種目を終えて2.093点のリード。中国が得意の種目ということもあって、平行棒だけでリードを2.1点失いました。それでもまだ2点リード。日本に大過失がなければ挽回不能なレベルの大差です。しかし、田中は何度でも甦る。何としても日本を止める、その一念で…!

↓田中、鉄棒で2回目の落下!さらに「これ以上落ちられてはかなわん」ということで離れ技を封印することに!落下2回分の攻撃を繰り出す!(6分30秒頃から)


落下の減点、予選では6.8あったDスコアを6.4に落とす変更!

田中、最後の最後まで抵抗を止めない!

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最終演技者・内村さんの演技を待つ段では、何故か田中は笑顔。「勝った」という勝手な確信のもと、「普通のデキなら金」という演技を見守ります。しかし、この日も出ずっぱりの内村さんは離れ技で落下。4点あったリードの大半を田中が吐き出したため、この落下で勝負はわからなくなりました。演技構成を落とす余裕はなく、再度落下すれば完全にアウトという緊迫の状況は、田中という魔物が生み出した試練でした。ラストバトルにふさわしい激闘です!

↓耐えた、決めた、やっぱり最後は内村だ!魔物をついに退け、悲願の団体金!(8分頃から)


最後はイギリスとわずか0.473点差!

あぶねーーーーーーーーwwwwww

こうして日本は勝利しました。中国にも、イギリスにも、田中にも。最後はドッタンバッタンしながらのズッコケ勝利となり、内村さんは苦笑い。「これが、夢に見た金なのか…?」というどこかスッキリしない感じをのぞかせます。

しかし、これでいいでしょう。田中を倒し、エンディングを迎えた勇者には、実はまだ裏世界の冒険が待っているのです。リオ五輪での団体金、そこに待ち受ける裏ボス。「まさか、貴様が!」と勇者も慄く裏ボスの正体がわかるのは来年の夏のこと。会心の笑顔を見せるのは、裏ボス撃破時にとっておきましょう。「佑典とふたりで頑張ります」と今後の展望を語る勇者は、まだ裏ボスの正体に気付く由もありませんが…!

しばし休むがよい、勇者よ!

そして、裏世界の冒険に挑むのじゃ!

ここで特別にネタバレをしておくと、裏ボスの名前は何と「田中」です!