広東省メディアの信息時報によると、同省東莞市の裁判所で、豚肉を新鮮に見せかけるために、法律で禁じられているホウ砂を「添加して販売していた」として、豚肉小売業者5人を被告とする裁判が始まった。摘発当時、「みんな、やっていることだ」と主張した被告もいたという。(イメージ写真提供:(C)W Decurm/123RF。中国の街頭で多く見られる精肉店の光景)

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 広東省メディアの信息時報によると、同省東莞市の裁判所で、豚肉を新鮮に見せかけるために、法律で禁じられているホウ砂を「添加して販売していた」として、豚肉小売業者5人を被告とする裁判が始まった。摘発当時、「みんな、やっていることだ」と主張した被告もいたという。

 ホウ砂の正式科学名は四ホウ酸ナトリウム(水和物)。消毒作用があるために洗剤や防腐剤、消毒薬として用いられる。また、アリやゴキブリ、ノミの駆除に使用することができる。ただし、摂取すると消化酵素の働きを妨げ、消化不良や栄養不良、ひどい場合には嘔吐や下痢、ショック症状などを引き起こすことがある。そのため、中国でも食品への添加は禁止されている。

 中国では、露店で鮮肉を切り売りしている場合がある。冷蔵設備も貧弱で、店頭に大きな肉の塊を吊るしている場合も珍しくはない。信息時報によると被告らもそのような店を経営しており、気温が上がって肉の変質が大きな問題になる6月に、鮮度の劣化防止や防臭のために薬局からホウ砂を購入して、豚肉に混ぜたという。

 被告の1人は摘発されてから、「豚肉を売っている人はみんなやっている。ほかの人がホウ砂を使っているのを見たこともある」などと供述した。

 別の被告は法廷で、ホウ砂を売り物の豚肉に添加したことは認めたが「お客さんが、体に異常が出たと言ってきたことはない」と述べたという。

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◆解説◆
 中国では食の安全問題が多発している。違法な薬品添加や混入だけでなく、耳を疑うような事件もある。2004年には人の髪の毛を化学薬品処理して作ったアミノ酸を原料にした醤油が、05年には化学薬品を用いて全く人工的に作った鶏卵が出回っていたことが分かった。

 2007年には、伝統的発酵食品である「臭豆腐」に見せかけた、「人糞に漬けた豆腐」が売られていた。2010年には、下水などで集めた油を原料にした「下水油」が食用油として売られていた。「人糞豆腐」、「下水油」の事件はその後もしばしば発生した。

 2015年には、消費期限を遥かにすぎた冷凍肉「ゾンビ肉」が大量に出回っていたことが分かった。同年になって見つかったのは古いもので1960年代の製造だった。「ゾンビ肉」問題がクローズアップされる前には、第二次世界大戦用に戦備用として作られた冷凍肉が見つかったこともあるという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)W Decurm/123RF。中国の街頭で多く見られる精肉店の光景)