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10月28日、千葉県の幕張メッセで「Japan IT WEEK 秋 2015」が開幕した。IoT/M2M展、クラウドコンピューティングEXPO、情報セキュリティEXPO、Web&デジタルマーケティングEXPO、スマートフォン&モバイルEXPO、データセンター展、ビッグデータ活用展、通販ソリューション展など複数の展示会が、30日まで開催される。ビッグデータ活用展では、UBICの執行役員 CTO 行動情報科学研究所所長の武田秀樹氏が「人工知能によるビッグデータ解析のポイントとは?」というテーマのセミナーを行ったので、その模様をお届けしよう。

初めに、武田氏は研究成果について説明し、人工知能は2012年頃からディープラーニングというキーワードとともに改めて注目を集め、分析対象となるデータの存在(ビッグデータ)や技術の成熟(機械学習など)、インフラの成熟(クラウド)などの条件が整い、産業において人工知能の活用が進んでいるとした。

同氏はビッグデータ解析について「干草の山の中から1本の針を見つけ出すことに例えられるが、実際は価値のあるデータが針であるとは限らず、従来の手法では抽出が困難な場合が多々あるほか、言語データは人間が意図する微妙なニュアンスの違いを見分けることが不可能といった課題がある」と述べた。

同社では2013年にビッグデータの解析を自動で行うソリューションとして「バーチャルデータサイエンティスト」を発表。同ソリューションは人の行動を学び、判断をサポートするほか、学んだ人の直感に基づいて評価軸を形成し、対象人物の趣味嗜好に合致した情報抽出を行うことができる。また、自由に記述したテキストデータを含むビッグデータの中から、必要なデータを迅速かつ正確に見つけ出すことが可能だ。

そして、同氏は「人工知能を使うことで、学習と判断の自動化や少量の学習から大量のデータ判断、判断の継続性・制度の維持、人間の行動や判断の特徴の捕捉、専門家の業務サポート、一般ユーザーの感覚の学習といったメリットを得ることができる」と語った。

続いて、国際訴訟支援やビジネスデータ分析支援、電子メール監査などにおける同社のソリューションの活用事例が紹介された。国際訴訟支援ではテキストマイニング技術、人工知能技術などを応用した同社独自の自動文書解析技術「Predictive Coding」がeDiscoveryにおける工程の1つであるReviewの労力、時間、コストを削減することできるという。

すでに32件の案件(2015年8月時点)で採用されており、機械学習によるレビュー事例としてPredictive Codingとクラスタリングを活用した結果、使用前のレビューファイル数は平均スピード32.35ファイル/時だったが、使用後は74.93ファイル/時と2倍以上に増加。また、重要文書の発見数も増加したという。

また、ビジネスデータ分析支援では「Lit i View AI助太刀侍(AI助太刀侍)」が業務上のメールや日報などの電子データを解析し、潜在的なチャンスやリスクを知らせる。

AI助太刀侍を導入した企業で米国の顧客から受けたメールに「遺憾」という単語が含まれていた際、同システムはこれまでの学習から「遺憾」という単語の出現がトラブル発生の前兆と判断し、該当メールに高スコアを付与。これを見たスタッフが優先的に対応し、トラブルになる前に事態が終息したという事例も紹介された。

さらに、近年では情報漏洩/不正競争防止法違反、価格カルテル、収賄など、企業を取り巻くさまざまなリスクが大きな社会問題になっている。そのような状況から、企業では電子メール監査が求められていることから、同社では情報漏洩を「醸成」「準備」「実行」の3段階をへたうえで発生すると定義。

会社の方針に異を唱えていた社員が退職し、すぐに同業の新会社を設立したケースでは、同社員のPCを調査した結果、業務に不可欠な社内データの持ち出しを準備するメールが多数発見されたほか、社外サーバにそれらのデータをコピーした痕跡も発見されたそうだ。同氏は、「この企業がナレッジ(知識・知見)を駆使して監査をサポートするソフトウェア「Lit i View EMAIL AUDITOR」を導入していれば防止できていたケース」と指摘した。

従来の電子メール監査サービスでは捕捉率を上げると目視監視すべきメールが大量にヒットし、キーワードを絞りすぎると重要なメールが漏れる可能性があるほか、キーワードを目的に応じてメンテナンスする必要がある。また、ヒットしたメールの中で優先度が付けることができないことに加え、社員が社員を監視することへの強い抵抗感といった問題点がある。

一方、同ソフトウェアによるメール監査を行えば高い捕捉率を保ちつつ適切な数量のメールを抽出可能でキーワードの設定・メンテナンスが不要なほか、メールに優先度が付けられ、社員の監視をサポートすることができるという。

そのほか、セミナーではトヨタテクニカルディベロップメントの特許支援調査システムやNTT東日本関東病院の転倒・転落防止システム、電通国際情報サービスのデジタルキュレーションサービスなどの事例が紹介され、人工知能が企業において実用が進んでいることがうかがえた。

(岩井 健太)