「色気よりも食い気」は女性特有?

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「男性の心をつかむなら、まず胃袋をつかめ」とはよく言われることだが、女性にも同じことが言えるようだ。

空腹では「その気」になれない

2015年8月、米ドレクセル大学の研究チームが「Appetite」誌に発表した最近の報告によると、女性は食欲が満たされているときの方が、空腹のときよりロマンティックな気持ちになりやすいことが分かった。

同チームが2014年に行った前回の調査では、ダイエット経験のある女性とない女性(いずれも若い女性)とでは、好きな食べ物に対する脳の反応に違いがあることが分かっている。満腹時においては、ダイエット経験のある女性のほうが、脳がより強い反応を示したことから、研究者らは「ダイエット経験のある女性は食欲が満たされているとき、(ドラッグやセックスといった)『報酬(reward)』に対する脳の反応がより強くなる」という仮説を立てた。

今回も同じ女性たちに参加してもらい、空腹時と満腹時とで、男女が抱き合っている写真を見せたときの脳の反応を、MRI画像を用いて分析した。その結果、ダイエット経験の有無にかかわらず、満腹時のほうが空腹時より反応が強かった。また、ダイエット経験のある女性では、男女の写真に対する脳の反応パターンが、好きな食べ物を見た時と共通していたという。研究者らはこの結果について「食べることが、若い女性の食べ物以外の『報酬』に対する反応を高めることを示している」と考察している。つまり、多くの女性は、空腹では「その気」になれないのだ。

男は色気、女は食い気

別の研究では、男性は色気、女性は食い気のほうが勝っていることを示唆している。これは米ロチェスター大学が2014年10月号の「Current Biology」誌で報告した研究結果によるもので、線虫のオスとメス(雌雄同体)にエサを近づけて匂いを嗅がせると、オスのほうが早くエサの匂いに興味を失うことが明らかになった。線虫は犬と同程度(ヒトの3倍以上)の嗅覚を持つ生物だ。また匂いを感じる仕組みが哺乳類とほぼ同じであるため、嗅覚研究のモデル生物として用いられる。

研究チームは雌雄の行動の違いの理由が、食べ物の匂いを受け取るODR-10という嗅覚受容体がオスよりもメスに多いためであることを突き止めた。そこで、エサを入れた皿にメス、普通のオス、ODR-10を人為的に増やしたオスを入れて観察したところ、メスは予想通りエサから離れようとしなかったが、普通のオスはしばらくするとエサから離れてメスを探しに行った。一方、ODR-10を増やしたオスは、普通のオスよりエサの近くにいる時間が長かった。

これらの研究から、意中の女性を食事に誘うのは科学的にも理にかなった方法だといえる。女性にとって好きな食べ物が何よりの「報酬」であるのに対し、男性にとってはおいしいものを食べている女性の笑顔が報酬になるのかもしれない。決して「下心あり」と悟られないよう、スマートに誘うことが大切だ。[監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]

参考論文
The way to her heart? Response to romantic cues is dependent on hunger state and dieting history: An fMRI pilot study.
DOI:10.1016 PMID:26145276

Sex, Age, and Hunger Regulate Behavioral Prioritization through Dynamic Modulation of Chemoreceptor Expression
DOI:10.1016 PMID:25438941

(Aging Style)