東芝がCMOSイメージセンサー事業撤退を正式発表、生産ラインなどはソニーに売却予定

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▲譲渡対象となる製造ラインが含まれる、東芝 セミコンダクター&ストレージ社の大分工場(同社サイトより)

東芝がCMOSイメージセンサー事業から撤退し、製造ラインなどの資産をソニーへ売却すると正式発表しました。東芝側の目的は「システムLSI事業の注力領域の明確化と固定費削減」とのこと。今後はソニー側の譲渡対象資産精査手続きなどを経て協議を進め、手続き完了予定は2015年度中を目指すとしています。

東芝のイメージセンサーと聞くとコンシューマー分野ではあまり目立たない印象もありますが、実はニコンのデジタル一眼レフ『D7200』などに採用されています(カナダChipworks調べ、リンク先を参照)。また産業用や車載用では比較的強く、便利な機能を搭載する製品を用意している、という側面もあります。

【ギャラリー】東芝 CMOSイメージセンサー事業より撤退 (2枚)



この売却に関する動向は、24日にロイターが「最終調整中」との記事を掲載。ここ数日、半導体業界などで話題となっていた状態でした。

ソニー側は、今回譲渡される製造ラインを子会社であるソニーセミコンダクタ株式会社(SCK)の製造拠点の一つとし、主にCMOSイメージセンサーの製造に使用する予定。「今回の東芝の大分工場の生産ラインの取得により、今後も一層の市場拡大が期待できるCMOSイメージセンサーの生産能力を増強することが可能となります」とコメントしています。

また東芝が対象となる製造ラインで生産していた半導体製品については、譲渡完了後、東芝からの委託を受けてSCKが受託生産する方向で協議中と発表しています。

なお、合わせて東芝のCMOSイメージセンサーの設計や製造に関連する従業員約1100名も、ソニーグループへの移籍を前提に調整中とのこと。つまり、製造ラインから人員までをまるまる含めての譲渡交渉ということになります。

東芝は、先日の決算における利益水増し問題などもあり、全社的な構造改革を進めている状態。実際に今回もCMOSイメージセンサーのほかに、白色LEDの製造からの撤退を発表するなど、いくつかの半導体事業の整理を決定しています。

リリースでは合わせて東芝のCMOSイメージセンサー事業の売上規模も発表されており、2014年度連結で約300億円。東芝側の実績に与える影響は「詳細は精査中ながら軽微」とされています。

▲東芝のスマートフォン用イメージセンサー『T4KA3』



さて、東芝のCMOSイメージセンサーと言えば、冒頭でも紹介したようにあまり目立たない印象はありますが、技術的にはユニークな特徴を持った製品を開発しているのが強み。

最近では車載カメラ用に、LEDを使った信号や標識を高速かつ正確に認識するためのLEDフリッカー抑制回路を内蔵した製品や、虹彩認証用としても使える近赤外線カメラ向け製品などをラインアップしています。

こうした車載や産業用に向けた製品は、ソニーがコンシューマー向けに比べると手薄な分野であり、そして今後伸びが予測されているため、将来面への影響は大きそうなところ。とくに車載は自動運転車というホットな市場もあることから、話題性という点でも大きいでしょう。

今回の買収は、昨今絶好調のソニー製イメージセンサー事業がより強化される方向に向かうことはほぼ間違いない情勢となりそうな動き。海外のスマートフォンやタブレットなどで見られる「ソニー製イメージセンサー搭載」というキャッチコピーを見る機会は、今後ますます増えるのかもしれません。