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○プロセスの微細化で回路パターン倒壊が続出

今回の半導体洗浄技術国際シンポジウムで最も注目されたのは「ウェハ乾燥」のセッションである。先端の超微細プロセスを採用した半導体デバイス製造では、ウェハ洗浄に使用する薬液や純水の表面張力によりアスペクト比の高い超微細構造が倒壊する問題が、世界中の半導体製造現場で顕在化しているためである。

その一例を図1に示す。図1(a)はFEOL(Front End of Line:トランジスタ形成)工程におけるSTI(Shallow Trench Isolation:極浅トレンチによる素子分離)エッチング後のパターン倒壊、(b)は20段以上積み上げた3次元NAND型フラッシュメモリのパターン倒壊、(c)は、BEOL(多層配線)工程におけるlow-k層間絶縁膜構造の倒壊、(d)はDRAMの円柱状キャパシタ構造の倒壊を示している。このほか、IntelなどのロジックLSIメーカーや先端ファウンドリでは3次元Finトランジスタなども問題が山積である。例えばIntelではTri-gateの高アスペクト比のFin構造が癒着し、その対策が迫られている。EUVリソグラフィのレジストパターン、直接自己組織化による超微細構造形成後の洗浄でも容易に癒着が発生するし、洗浄・純粋リンス後のウェハ乾燥の際に水の表面張力による毛管力で脆弱な超微細パターンが倒壊するからである(図2)。

乾燥時のパターン倒壊に関して米国Applied Materials(AMAT)と東芝が発表した。AMATは、2次元NANDフラッシュメモリのSTI構造(アスペクト比20)を用いて、表面張力が水よりも弱い有機溶剤を用いたマランゴニ洗浄や、自己組織化モノレイヤを用いた表面張力制御、フリーズドドライ(昇華法)などいろいろな乾燥法を試したが、いずれもかなりな確率でパターン倒壊が生じたという。原理的に表面張力が生じない超臨界流体(二酸化炭素)を用いた乾燥法では、パターン倒壊は生じなかった。AMATが使用した300mmウェハ超臨界乾燥装置の概略と実験結果を図3、図4に示す。超臨界流体洗浄後の金属汚染やパーティクル汚染についても調べたが、許容できるレベルだったと言う。AMATは、近い将来、超臨界流体乾燥法こそが超微細パターン倒壊の究極的な解決策になることが期待されると結論付けたが、実用化の時期などについては言及を避けた。

東芝からは「ナノ構造の癒着への表面エネルギー低減の効果」と題する報告が行われた。まず、AMATと同様に、高アスペクト比の超微細構造が乾燥時に倒壊する現象を紹介した後、癒着してしまったナノ構造に表面張力を減じる溶液処理を施して表面エネルギーを減少させて元にもどす手法について、計算シュミレーションと実験で比較しながら論じた。AMATおよび東芝の講演より、超微細化競争の先端を走るNAND型フラッシュメモリの開発・製造の現場で、パターン倒壊の根本的対策が急がれていることがうかがわれる。

○次回の洗浄国際会議はNational Harborにて開催予定

なお、次回の会議は、2017年10月に米国の首都Washington DC近郊のNational Harbor(メリーランド州)で開催される。直近の洗浄国際会議は、2016年9月にベルギーでInternational Symposium on Ulrta Cleasn Processing of Semiconductor Surfaces(UCPSS 2016)が開催される予定だ。

(服部毅)