得意のドリブル突破だけでなく、ボールの引き出し方、タイミングのずらし方、パスの狙いどころの良さは、攻撃に幅を持たせる意味でチームにとって大きな「発見」(手倉森監督)だった。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 U-22代表の初陣で、期待を裏切らないプレーを見せるあたり、さすがである。

【U-22日本代表PHOTO】福岡大戦 0-0

 キックオフ約1時間前、配られたメンバーリストのスタメン欄には「関根貴大」の文字が記されていた。前日のミーティングで映像を交えながら「背後を狙う動きやタイミングを確認した」という関根は、4-4-2の右サイドハーフとして先発出場。良いイメージで臨めたと話すだけあって、序盤から待ち望んだチャンスの舞台で自分のカラーを出していく。
 
 直前まで降り注いだ雨を吸ったスリッピーなピッチコンディションもあって、得意のドリブル突破は控え、流れのなかでサイドから中央へと入って行き、前線にスルーパスを供給してチャンスを作る。11分、ペナルティアーク付近で中島翔哉からボールを受けた関根は、すかさず遠藤航にスルーパスを通してチーム最初の決定機を演出すると、29分、33分と立て続けにボックス内の中島とのコンビで相手ゴールに襲い掛かった。
 
「自分に入った時にスピードアップや攻撃の変化を生めればいいなと。ゴール前に顔を出す回数、間で受けて作りのところに参加する部分はレッズとは違うけど、そういったところも求められてくると思っていたので、意識しながらプレーした」(関根)
 
 浦和のシステム(3-6-1)と代表のシステム(主に4-2-3-1、4-4-2)の違いは、かねてから懸念材料として挙げられていた。しかし、そういった周囲の不安を一掃するかのように、与えられたシステムにスムーズにアジャストしてみせた。中盤でボールを受けてタメを作る動きや、最終ラインからのパスをフリックで前線に流すプレーは、攻撃の潤滑油となり得る可能性を示したと言っても過言ではない。
 
「所属クラブと代表チームのやり方は違って当然ですけど、パッと入ってパッとできる、その頭の良さは、高い戦術理解度を見せてくれたなと」(霜田技術委員長)
 
「関根はドリブルとスピードがストロングの選手だけど、彼にはいい間がある。近くの選手に渡して自分が活きるとか、中に持ち込んで預けてより中に入って『そこに出したか』というスルーパスでバイタルを狙っているのが印象的だった。それは浦和ではあまり見られない“発見”だった。4-4-2のサイドでも十分アクセントになれることが、僕もチームメイトも分かったんじゃないですか」(手倉森監督)
 
 チームの“トップ2”が賛辞を送る一方、当の本人は自分にどこまでも厳しい。チームはスコアレスドロー、自身もシュート0本に終わり、「目に見えた結果を残せていない」「(満足できるレベルには)まだまだ遠い」と悔しさを滲ませた。攻撃面で太鼓判を押した指揮官もまた、守備に関しては「守備に関わるエネルギーはもう少し整理してあげないといけない」と注文を付けることを忘れなかった。
 もっとも、リオ五輪アジア最終予選に向けた「最終選考」の舞台で、関根のような新戦力が出てくる意義は大きい。キャプテンの遠藤は、関根がチームに与える影響についてこう語る。
 
「チームの層は間違いなく厚くなっている。リオに向けてはもちろん大事だけど、その先のロシア(ワールドカップ)に向けて、自分たちの世代がいろいろな攻撃のバリエーションだったり、選手のライバル意識を高めていければいいなというのは手倉森監督が話していた部分。(関根のように)いろんな選手がすんなり入って自分の良さを出して行けるのは(チームにとって)プラスに捉えられると思う」
 
 関根は今回の初招集の一報を受ける直前、同年代の小屋松知哉やオナイウ阿道、年下の鎌田大地や井手口陽介が手倉森ジャパンに選ばれていく姿を端から見て、「やっぱり悔しい」と胸中を吐露していた。そして、U-19代表以来となる日の丸のユニホームに袖を通したことで、その悔しさは強い責任感ヘと変わった。
 
「(日本代表としての)責任感を強く持たないといけない、と改めて感じた。チームでしっかりアジアの切符を取りたい」
 
 福岡大戦で手にした課題――ゴール前への回数を増やす、ボールを奪った後のつなぎ――を28日のトレーニング、そしてキャンプ最終日に予定されている鳥栖との練習試合でどう実践し、渇望する結果につなげていくのか。遠藤の言葉になぞらえれば、関根の成長がそのままチーム力アップにつながると言っていいだろう。“突貫小僧”からひと味大人になった関根貴大のさらなる進化に期待したい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
PROFILE
せきね・たかひろ/1995年4月19日生まれ、埼玉県出身。167センチ・61キロ。FC鶴ヶ島―浦和Jrユース―浦和ユース―浦和。今季通算30試合・6得点、J1通算51試合・8得点(第2ステージ15節終了時)。キレ味鋭いドリブルを武器に、積極的に仕掛けるアタッカー。右WBを主戦場に、左サイドにも対応する。